疲労を自覚しても運転を止めない責任は重い---鈴鹿の事故で懲役6年求刑

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今年8月、三重県鈴鹿市内の東名阪自動車道で、過重労働が原因で居眠り運転を起こした大型トレーラーが渋滞中の車列に追突する事故を起こし、その後に発生した火災で11人が死傷した事故で業務上過失致死傷罪に問われているトラック運転手に対する論告求刑公判が25日に津地裁で開かれた。検察側は「被告は自分の過労状態を自覚していたのに運転を継続した責任は重い」として懲役6年を求している。

この事故は8月10日早朝、三重県鈴鹿市内の東名阪自動車道下り線・鈴鹿インターチェンジ付近で発生したもの。渋滞で止まっていた車列の最後部に大型トレーラーが減速しない状態で追突し、クルマ7台を巻き込む多重衝突事故になった。この事故によって漏れたガソリンに4台が引火して炎上。逃げ遅れた5人が焼死、6人が重軽傷を負った。事故の原因となったのは連続56時間に及ぶ過重労働が原因で生じた居眠り運転とされ、運転手本人だけではなく、会社も道路交通法違反(過労運転容認)で摘発を受けている。

25日の論告求刑公判で検察側は「被告は会社から茨城県と大阪府を往復する便を担当するよう指示を受け、連続56時間にも及ぶ過酷な勤務で極度の疲労状態だった」と認定した。また、「被告本人は疲労が蓄積していることを自覚しており、途中で休息を取ったり、会社に別の運転手を手配するように頼むことも出来たが、これを怠った」と指摘。本人に事故を回避するための注意義務が欠けていたことを示した。

その上で「限界を感じていたにも関わらず、安全性を軽視して運転を続けた結果として事故に至った。その結果はあまりにも重大である」として、裁判長に対して懲役6年の実刑判決を求めた。

これに対して弁護側は「会社の方針に反することは職を失うことになり、過酷な勤務を課した会社の責任の方が重大」と主張。裁判長に情状酌量を求め、裁判は同日結審した。

判決は来年1月29日に言い渡される予定。

《石田真一》

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