時効直前の事件に新法適用!? 酒酔い死亡事故の責任は会社にも及ぶ

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1999年11月、東京都世田谷区内で酒酔い運転の大型トラックが渋滞で停車中の乗用車に衝突し、その後の車両火災で幼児2人が焼死した事故で、警視庁高速隊が「常習的な飲酒を容認していた疑いがある」として、この運転手が勤務する運送会社と、当時の車両運行責任者を14日に書類送検していたことがわかった。過去の事故で警察が運送会社の責任も問い、書類送検するのは極めて異例だが、今年6月の改正道交法施行によって「酒酔い運転容認」という形で責任追及ができることが可能になったため行われた。

この事故は1999年11月28日、渋滞中の東名高速道路・上り線で発生した。渋滞で止まっていた乗用車に大型トラックが追突。2台は燃料漏れから車両火災を起こし、乗用車の後部座席にいた幼児2人が焼死。事故当時は助手席で寝ていた幼児の父親も逃げ送れて全身に重度のやけどを負った。後の調べで大型トラックの運転手が著しい酒酔い状態だったことが発覚。裁判では業務上過失致死罪に問われ、懲役4年の刑が確定している。

この運転手は日常的に飲酒を行っていたことが判明しているが、警察では「会社がこうした事情を知りながら、飲酒運転の防止に努めてこなかった。そのチャンスは問題の運転手を雇用してからの5年間に幾度となくあったが、それを全て怠った」として、この運転手が当時勤務していた運送会社と、その支店で車両運行責任者を兼務していた当時の支店長代理を道路交通法違反(酒酔い運転の容認)で書類送検することを決めた。

警察が過去の事件で、しかも時効直前の案件について書類送検するのは極めて異例だが、その背景には今年6月の改正道路交通法施行によって酒酔い運転した本人だけでなく、それを暗に認めていた周囲の者に対しても「下命・容認」という形で責任追及ができるようになったことが大きい。以前は刑法に定められた「幇助」に当たらないと責任を問うことができなかったが、現在は酒酔い・酒気帯びに関しては「下命・容認」が確認された段階で適用可能としている。

事件当時はそれを処罰する法律が無かった過去の案件にまで適用し、責任追及するというのは行き過ぎ感もあるが、それを検察がどう判断するか興味深い。

《石田真一》

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