『コルト』には1.3リットル(4G19)と、1.5リットル(4G15)という、二つのエンジンラインナップがある。いずれも連続可変バルブタイミング機構の「MIVEC」をプラス、CVTを組み合わせてライバルを凌駕する性能を身につけた。
1.5リットルエンジンの型式自体は『ミラージュ』などから続くお馴染みのものだが、1.3リットルエンジンも含め、かなりの部分を新設計している。「MIVECの採用によってストレスのない動力性能を確保しました」と語るのは、コルトのパワートレインを担当する出井龍哉さん。
連続可変バルブタイミング機構と聞くと、『FTO』などでのスポーツカー的なノリを連想しがちなのだが、「コルトでは乗用域での出力と燃費の向上を主眼に置いています。MIVECを搭載したことで吸気を最適化し、全体的に高効率化を図りました。さらにはCVTの採用をパワーロスが減っており、燃費は格段に向上しました」と説明する。排出ガスも新触媒の採用などで75%低減レベルを達成し、超-低排出ガス(3ツ星)認定を受けるなど、ライバル車に対しての差別化は果たしている。
気になるのは運転時のフィーリングだが、街を走る程度なら1.3リットルエンジンで充分という印象を受けた。CVTの仕上がりも秀逸で応答性にも不安を感じさせない。ただし、もう少しの余裕を求めるという意味では1.5リットルエンジンも捨てがたい。数字上では微々たる違いでしかないのだが、実際に乗ってみるとその差異がはっきりわかるほどの違いがある。発進加速時の力強いトルクを味わうと、1.3リットルエンジンが物足りなく思えてくるのは困ったものだ。エンジンの差額は12万円と言われているが、経済性に価値観を見出すのか、それとも動力性能を取るのか、そのあたりが迷うポイントになるのは間違いない。