不正軽油を大掛かりに精製? 廃棄物を大量放棄した業者を逮捕

自動車 社会 社会

愛知県警は24日、環境破壊の恐れがある有害物質を積めたドラム缶を、足助町の山中へ大量に放棄したとして、廃棄を引き受けた常滑市の産業廃棄物収集運搬会社役員の男と、ドラム缶を運ぶ契約を結んだ埼玉県春日部市の運送業者の男、実際に荷物を運んだ足助町の業者の男を廃棄物処理法違反(無許可の収集運搬)容疑で逮捕したことを明らかにした。

警察の調べによると、この3人は今年4月下旬、重油を軽油へと精製する過程で生み出される有害な「硫酸ピッチ」を積めた200リットル容量のドラム缶約60本を、足助町の山中に運んだ疑いがもたれている。現場には574本のドラム缶が放置されていることが確認されているが、これらは全てこの3人が投棄したものとみられている。

警察がこの事実を知ることになったのは、近隣住民や地主からのクレームによる。今年3月に県警の生活経済課の捜査員が現場を訪れた際には、一部の缶が腐食して中身が漏れ出していた。漏れ出した液体をサンプルとして採取して研究機関で調査した結果、重油を軽油へと精製する過程で生じる有害物質「硫酸ピッチ」であることが判明した。

この報告を受け、捜査員が現場付近で張り込みを行なったところ、4月下旬に現地へ大量のドラム缶を搬入するトラックを発見。警察ではヘリコプターで上空からこのトラックを追跡し、東海市内の石油精製施設から持ち出されていることをキャッチした。後にこの会社の関係者から任意で事情を聞いたところ、硫酸ピッチを排出した事実は認めたが、産業廃棄物の処理に必要なマニフェスト(管理伝票)を発行しておらず、輸送した業者もこうした危険物の輸送許可を県から受けていない全くの無許可営業だった。

警察では、問題の硫酸ピッチが軽油を作り出す際に生まれることや、伝票を一切残さず、運搬も無許可の業者に行なわせるなど、不審な点が多々あるため、今後は不正軽油精製の可能性も視野に入れ、関係者を厳しく追及していく方針。

《石田真一》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース