通学定期代は携帯代に化ける---バス定期券の偽造が横浜でのブームに!?

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横浜市交通局は2日、生活保護世帯や身体障害者を対象に発行している「福祉特別乗車券」が何者かによって大量にコピーされ、横浜市周辺の県立高校の在学生の間に出回り、不正利用されている実態を明らかにした。市交通局ではバス乗務員や駅職員に偽物の特徴を覚えさせ、摘発強化に乗り出すこととなった。

この特別乗車券は横浜市交通局の運行するバスや地下鉄に無料で乗車できるというもので、生活保護世帯や身体障害者を対象におよそ4万8000枚が交付されている。不正利用を防ぐために使用者本人の名前が券面に記載されており、コピーによる複製を防ぐための“すかし”も入れられている。

先月13日、この特別乗車券の不正コピーが遺失物という形で発見された。いずれも横浜市周辺にある県立高校に通う生徒の身分証明書とともに入れられていたもので、券面の名義人と証明書の持ち主は違う人物だった。翌14日には、この券を使ってバスに乗った高校生に運転手が身分証明書の提示を求めたところ、同様に名義人とは異なる人物が使用しようとしていたため、「それはできません」と説明し、正規の運賃を支払わせた。

ところが話はこれだけに留まらず、市営地下鉄の駅から複数枚の特別券が発見され、29日と30日には職員が偽造券を使おうとした高校生4人を不正乗車の疑いで検挙し、持っていた券を没収するとともに、罰金(正規運賃の3倍額)も徴収している。駅員の事情聴取に対して、捕まった高校生は「学校で出回っている」と供述し、自分が持っていた券についても「他校の友人から貰った」と話しているという。

押収された券はいずれも原券をベースに、複数回のコピーを繰り返したもので、コピーした際に浮き上がる“すかし”はどれも薄くなり、容易に判別のつかない状態となっていた。

横浜では高校生による不正乗車が横行しており、特に乗り込み時に運転手へチラッと見せるだけで済むバス定期券については、正規の券を購入後にカラーコピーを取り、それを払い戻してコピーした偽造券の方を使うという手口がここ数年で急激に増加している。払い戻した定期券代を遊ぶ金や携帯電話の通話料として充当するためとみられ、最近では払い戻しの際に親の承諾書を求める営業所もあるなど、あの手この手の防止策を強めている。

今回の偽造券は福祉目的に配布されたものを悪用したものだが、これを廃止すれば本来必要な人たちへの不利益が生じる。そのため市交通局では「職員の目に頼るしかない」と、偽造券をバスの各営業所や地下鉄駅に配り、その特徴を記憶させる努力をしているようだ。

《石田真一》

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