命を預かるクルマのずさんな管理---新生児救急車が燃料切れ!

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大分県の福祉保険部は30日、大分市にある大分県立病院の新生児救急車が患者を搬送中、東九州自動車道でガス欠を起こし、立ち往生していたことを明らかにした。搬送中の乳児は後続の家族のクルマに保育器ごと乗せ換え、予定より20分遅れて無事に到着したという。

トラブルが発生したのは25日の未明で、大分県津久見市内にある病院から午前1時ごろ「生後間もない乳児が呼吸困難を起こした。対応できないので出動を要請する」という依頼があった。このため、同院が所有する新生児用の医療機器を備えた専門の救急車が出動し、患者をピックアップして同院まで戻ろうとした。

ところが午前2時30分ごろ、東九州自動車道を走行中に突然スピードが落ち、ついにはエンジンが停止してしまった。このため路肩に停車し、後続を走っていた家族のクルマに保育器ごと乗せ換え、医師も便乗した上で病院を目指し、予定より20分遅れで到着したという。

立ち往生した救急車はJAF(日本自動車連盟)のサービスカーを呼んで故障原因をチェックしたところ、突然停止した原因が燃料切れであることが発覚。給油を済ませたら自走可能になった、としている。

この新生児救急車は同院が保有しているが、運行に関しては市内のタクシー会社3社と契約し、車両管理を含め委託。急患発生の連絡を受けると、病院がタクシー会社に運転手の派遣を要請。駆けつけたドライバーの運転で患者の搬送を行うという仕組みになっている。

同院が救急車の帰着後、運行記録簿をチェックしたところ、最後に給油を行ったのは4月8日で、その後はずっと無給油だったことがわかった。この間、救急車は10回出動し、380kmあまりを走っていたが、同一のドライバーが運転していたわけではなく、他の誰かが給油するはずだと思い込み、結局は誰も給油を行っていなかったようだ。

同院では「再発防止に努める」とコメントしているが、運行委託を1社ではなく、3社にしていたことが責任の所在を不透明にしたとも考えられる。

《石田真一》

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