発表が二転三転する滋賀県警---発砲は適正だったの?

自動車 社会 社会

9日午前、滋賀県大津市内の路上で、パトカーにクルマごと体当たりするなどして逃走しようとした元暴力団員に対して、大津署の巡査部長が発砲。撃った弾が後頭部を直撃し、その後に死亡するという事件が起きたのは既報のとおりだ。しかし、事件直後から情報が錯綜し、今もどういった状況で射撃したのかさえ明らかになっていない。

この事件は9日の午前9時45分ごろに発生した。事件の大筋は「クルマの部品を外すなどしていた男女に職務質問したところ、クルマに乗り込んで逃走を開始。パトカー2台に体当たりするなどしたため、危険を感じた警察官が警告の後に発砲。その弾が容疑者の後頭部を直撃し、収容先の病院で死亡した」というもの。しかし、当初の発表では「駐車場」だった現場が、その後「山間部の市道上」に変わり、警官が発砲した目標が「後輪タイヤを狙って…」が「クルマの後部を狙って…」に変わるなど、情報は錯綜した。

滋賀県警による発表は数度に渡って行われているが、最後の発表では射撃位置が「犯人のクルマから15メートル以内の範囲」で、「右斜め後方からタイヤを狙って撃ったが、実際には後部座席のガラス付近に命中」となった。

現場に出動した2台のパトカーのうち、トヨタ『クラウン』は前部バンパーが変形、もう一台のトヨタ『プラッツ』は後部バンパーがもぎ取られる形で損傷していた。県警では「犯人が体当たりしてきたことで危険を感じ、クルマを降りた警察官が“撃つぞ”の警告の後に発砲した」としているが、この警察官がどちらのパトカーに乗っていたのか、そしてそのような危機的状況で素早くクルマを降りて、警告しながら射撃位置に立つ時間があったのかなど、肝心なことは何一つ明らかにしていない。

警察庁も「滋賀県警からの報告待ちであり、報道以上の事態を把握していない」としているが、県警の発表自体が二転三転しているので何が真実なのか見えてこない。

《石田真一》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集