ダイムラー・クライスラーの大株主であり、一時は同社に対して敵対的買収を仕掛けたこともある投資家のカーク・カーコリアン氏が、昨年ダイムラー・クライスラーに対し総額80億ドルという株主代表訴訟を起した。理由は「1998年の合併時において、クライスラーがダイムラーに吸収される形とは説明されず、対等合併だと株主に思わせた、また合併後株価が下落した」など。
この訴えに対し、ダイムラー・クライスラーはアメリカ連邦裁判所に訴えを不受理にするよう嘆願していたが、連邦裁判所はこの嘆願を拒否。いよいよ裁判が現実のものになる可能性が高まった。ただし裁判所はカーコリアン氏より小規模の株主による集団訴訟に対しては不受理の判断を下した。
ダイムラー・クライスラー会長のユアゲン・シュレンプ氏は、アメリカの裁判システムに関してやや不安を抱いている、と伝えられているものの、カーコリアン氏と和解する考えは全くないようで、法廷の場で巨額の賠償を巡るやり取りが行われるのは避けられないようだ。