大阪市は14日、今年4月1日に市の規約を改正し、河川敷や市営団地の敷地内などに放置されたクルマの撤去を、原則として市が自由にできるように定めた。現在、放置されたクルマの撤去には様々な手続きが必要で時間も要するが、これを簡素化することが狙い。
大阪市では使えなくなった自動車を河川敷や市営団地の敷地内などに放置するケースが急増しており、2000年度だけで2500台を撤去したという。その多くは壊れたり、あるいは古くなったものの、廃車費用を払えない(払いたくない)などの理由で放置されたものなのだが、これらのクルマを処分する際には、車台番号などから所有者を探し出し、同意を受けた上で行う必要がある。
だが、元々「所有者をわからないように細工した上で捨てられている」ものだけに、その特定は困難を極め、作業が遅々として進まないのが現状だ。しかし、放置されたクルマの中の一部には盗難車など事件性のあるものも含まれており、財産権の問題もあることから、これらの特定作業を完全に省略するというわけにもいかないという事情もある。しかし、放置自動車が社会的な問題になっていることから、確認作業の一部を簡素化し、廃棄までの時間を大幅に短縮することになった。
ナンバープレートが付いたまま放置されたクルマ、つまり「発見の段階では盗難車の放置なのか、廃棄物としての放置なのかわからない」という、グレーゾーンに位置するクルマの場合、陸運局の台帳に記載された所有者に連絡し、その段階で転売されていることがわかれば所有者不明として即処分が決まる。所有者に連絡した際、それが盗まれたものだとわかれば、警察に連絡して正規の手続きを取る。
即処分の対象となったクルマについては、以後「放置廃棄物」として扱い、所有者不明として財産権についても放棄したと見なすという。これまで1カ月を要した確認作業を1週間程度まで短縮化する。
市では「本当は放置してもらわないことが一番なのだが…」とコメントしている。