訴訟で判断を誤っても国にその責任はない---東京高裁がえん罪被害否定

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1975年、道路に寝ていた男性をひいて死亡させ、そのまま逃走したとして、道路交通法違反と業務上過失致死で起訴され、1審、2審で有罪とされたものの、1989年に「えん罪だった」と最高裁が認定して無罪を言い渡された男性が、2審までの判断を誤った国を相手に1100万円の慰謝料を求めて争っていた国家賠償請求の控訴審判決が13日、東京高裁であった。裁判所は国の責任を認めず、1審と同じ請求棄却の判決を言い渡している。

この事件は1975年に新潟県津川町で発生したもので、酒に酔って道路上で寝ていた男性をトラックがはね、そのまま逃走したというもの。現場に確たる物証は無かったが、目撃証言などから「当時、この現場を通りかかったのではないか」という男性の存在が浮上。警察は状況証拠のみでこの男性を逮捕・起訴した。男性は事件への関与を否定し、無実を訴えたが、1審の新潟地裁、2審の東京高裁ではいずれも有罪判決を受けた。

ところが3審の最高裁で状況が一変する。この男性を逮捕した当時、警察が最重要視していた証言が「曖昧な記憶を基にしたもので信頼するに当たらない」と判断される。さらに事故当時に対向車線側から現場を通りがかったバス運転手が「男性のトラックではない」と証言したことや、警察が「人の血痕である」としていたタイヤの付着物については、検査技術の向上に伴い、人のものでないことが判明した。このため最高裁では1989年、この男性に対して逆転無罪の判決を言い渡すとともに、当時の捜査体制についても批判する画期的な判断を行っていた。

この判決を受け、男性は「確固たる証拠がないまま検察側が物証などを捏造し、裁判官もその主張を鵜呑みにした」として、検察や裁判所を管理する法務省(国)、裁判官や検察官を相手に1100万円の慰謝料請求を行うという国家賠償訴訟を起こしていた。しかし、1審は「国の責任はない」として、請求自体が棄却され、2審でも全く同じことを争点に争っていた。

13日の控訴審判決で東京高裁の雛形要松裁判長は「検察官の起訴や裁判官が有罪とした判断は結果的に誤りだったが、通常の裁判官が“到底そのような判断をしない”と言えるほど不合理ということはできず、国家賠償上の違法はない」として国の責任を回避。また、裁判官や検察官など個人への賠償請求についても「公務員個人は賠償責任を負わない」として訴えを全面的に棄却した。

男性はこの判決を不服として、上告する方針だという。

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《石田真一》

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