街路灯に求めるものは「明るさ」だけでいい? 神戸でかなり変わった裁判

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「街路灯の定義は“明るさ”のみで、華美な装飾は必要ない」ことの確認を裁判所に求めるという、ちょっと変わった裁判がこれから始まることになりそうだ。兵庫県在住の男性が11日、神戸地裁に訴えた債務不存在確認訴訟がそれ。

訴えによると、この男性は2000年10月、尼崎市内の道路を走行中にクルマの運転を誤って道路脇の街路灯に衝突。街路灯は根元から折れ曲がり、点灯しなくなった。このため、道路管理者の尼崎市は、この男性に対して街路灯の修復費用として約200万円の請求を行ったというもの。

通常の街路灯は1本100万円程度だが、この男性の破壊したものは尼崎市が「近松門左衛門ゆかりの地」として、街おこしの一環として行灯をイメージして作った特注品だった。そのために請求費用が通常の倍以上となってしまった。

しかし、男性は「華美な装飾は街路灯本来の機能とは何ら関係がなく、正常に点灯すれば原状回復に足りる」として、およそ100万円の部分については支払う必要がなし、つまり「債務は生じない」ことを確認する訴えを起こした。

実はこの「債務不存在訴訟」というのは、損保会社が保険金支払額低減のために仕掛ける訴訟テクニックのひとつ。今回の裁判でも原告はあくまで一個人であり、損保の存在を現わしていないが、これは損害額確定後、この個人に対して支払ったと処理して、損保会社が代位弁済するというシステムのためだ。

例えばクルマ対クルマの衝突事故を起こし、相手のクルマがエアロパーツやエンジンなどにチューンナップを施していたと仮定しよう。当然被害者としては「クルマの現状回復費用として、これらパーツを含めて求める」わけだが、加害者としては「走れば問題ない」として、これらパーツの部分の支払いを拒むことがある。当然、交渉はかなり紛争するわけだが、そういった場合に必要以上の賠償が必要でないことを認めさせる手段としてこの訴訟が多用される。

過去の判例ではどうかといえば、やはり必要以上に華美な装飾は認められないのが現状だ。特にエアロパーツなどのドレスアップはまず認められない。東京地裁では「650psという高出力は公道走行に必要ない」なんて判断も出ている。そういった判例がそのまま適用されるとすれば、今回のケースも認められないということになるのだが、神戸地裁はどう判断するのか?

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《石田真一》

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