全国の常識は山梨の非常識? 事故を減らすための信号が逆効果

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「路上ある信号のうち、赤が点灯していても、その下にある青い矢印が点灯していた場合にはその方向に進める」というのは、教習所でも教えてくれる基本的なルールだろう。しかし、その基本が山梨県では通じないため、事故が続発しているという。

これは山梨日日新聞が3月1日付けの紙面で報じたもので、県内の甲西バイパスに設置された矢印式信号が原因で発生する事故が後を絶たない。これまで山梨県内では矢印式信号機が設置されておらず、ドライバーが不慣れなことがその一因。

元々、この信号機は「山梨ルール」と呼ばれる無謀運転を抑止するために導入された。山梨では右折時の一時停止を守らず、直進状態からそのまま減速無しで右折するクルマが多く、このことからいわゆる“右直事故”が目立っていた。これを少しでも減らそうと、新たに開通したバイパスに全国的にも採用例の多い矢印式信号を県内で始めて本格導入したのだが、これが裏目に出た。

このバイパスに設置された信号機では、最初に直進と左折の矢印が出て、黄色から赤に変わり、その後に右折表示が出る。その後、さらに黄色から赤に変わると、交差側が青になるという仕組み。全国どこにでも見られる、ごくごく普通の表示内容だ。

ところが「全方向に進めるわけではない」を示す赤表示があるため、これを赤信号と誤認して急停止して追突されるケースや、矢印の無い本来の赤信号表示を見間違えて交差点に進入し、出会い頭で衝突するケース。これまでの山梨ルールを踏襲し、右折表示がされる前に強引に曲がって衝突するケースが多発し、昨年だけでも28件、38人の救急搬送が実施されている。

山梨県警では、県内の教習所に依頼して学科教習の時間に矢印信号の見方を特別指導しているというが、根本的な対策としては「信号システムを覚えてもらう」しかなく、対応に頭を痛めている。

《石田真一》

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