●川住はタレ込み本人ではない
今回の〝もみ消し〟事件が必要以上に騒がれることとなった真相は、新潟県警のしたたかな〝戦略〟によるところがおおきい。
〝戦略〟は見事にあたり、新潟県警の不祥事ではなく、白川勝彦の不正だと、多くのひとびとに認知されることとなった。さらには、「身内の交通機動隊長に厳しく対処することで、警察に自浄作用があるというアピール効果を狙ったのでは」と指摘するムキもある。
だがここで、きちんと確認しておきたいことがある。もみ消しは、依頼したヤツ、仲介したヤツよりも、それを受けたヤツが遥かに責任が重いということだ。
そして、この事件でスケープゴートにされた白川サイドもまた、(本当にそう思っているのかも知れないが)陰謀説にのっかることで、不正イメージから受けるダメージを最小限に食い止めようとしよういうフシがある。
この〝もみ消し 〟事件も、最初の結末をむかえる。4月12日に川住が〝もみ消し〟に関与した事実を認め、略式起訴。新潟簡易裁判所に、罰金30万円の略式命令を言い渡されたのに続き、4月14日には鴨居も新潟簡易裁判所に略式起訴、罰金30万円を仮納付し釈放されたのだ。
そして川住が略式命令をうけたその直後に不可解な報道があった。
「川住容疑者はもみ消し告発の電話をしたことを認めた。さらにその動機について、『もみ消しが発覚すれば、藤巻容疑者が秘書の座を追われると思った』という内容の供述をした。川住容疑者は藤巻容疑者の後釜の秘書になりたいとの思惑だったと見られる。」と時事通信が配信したのだ。
しかしこれは、筆者が特定した〝タレ込み元〟A氏とは異なり、クビを傾げた。
なにしろ「自分が捜査線上に浮上するのが明白なのに、普通タレ込んだりするのか?」「川住がタレ込みの当事者という割にはタレ込み情報と事実に微妙なにズレがある」といった点から、川住タレ込み説には整合性がない。
白川代議士が川住本人に真相をたずねたところによると、厳しい取り調べにより供述を強要されたということだ。「川住がタレ込んだ」という絵を描き、それをマスコミに流した新潟県警としては、どうしても事件を白川事務所のイザコザにしてしまいたくて仕方なかったのだろう。あるいは県警にとって、そのほうが好都合だったのかも知れない。
4月16日には、藤巻が否認のまま新潟地方裁判所に起訴された。おそらく鴨居・川住が事実を認め略式命令を受けたことをからめてくるのは間違いない。
むしろ「大沢は何故、金品授与などのメリットもなく嬉々として〝もみ消し〟をはたらいていたのか」など、少なからず残るミステリーを裁判は解明してくれるまのだろうか。