去る10月5日から9日まで、千葉・幕張メッセで〝エレクトロニクスショー'99〟が開催された。 最新のAV機器やコンピュータ、電子デバイスなど幅広いエレクトロニクス製品を展示するこのイベントだが、今回は主催者(社団法人日本電子機械工業会)展示として〝ITSPLAZA〟が特設され注目された。 ITSとはIntelligent Transport Systems(高度道路交通システム)の略でクルマと道路のインテリジェンス化と、その相互通信化などにより、道路交通の安全性・快適性を高めようというもの。我が国ではすでにVICSが一部地域で実用化されているが、自動車メーカーにとって環境とともに21世紀の開発課題となっている。 出展メーカーにとっては、タイミング的にみても、東京モーターショーの前哨戦と位置付けていいだろう。 まずITS PLAZAにおいて目をひいたのが、1999年度中のサービス開始を見据えて商品化開発のすすむ、ETC車載機の展示だ。
ETCとはElectronic Toll Collection(ノンストップ自動料金収受システム)の略で、高速道路の料金所ゲートに設置されたアンテナと、通行車両に装置した車載機との間で5.8Gヘルツ帯の無線通信を用いて利用情報を記録。後日、自動的に銀行口座引き落としで料金の支払いを行なうもの。 ETCの導入により… 利用者の識別は、車載機に挿入する専用IC決済カード(民間クレジット会社が発行)による。
気になる導入コストはといえば 「3万円から3万5千円程度での出荷が予想されます。実際には4万円から5万円になるのではないでしょうか」と、ある出展社の弁。 建設省による規格に縛られておりメーカーごとの独自性を発揮しづらい。そんななか筆者が注目したのが、日産/カルソニック/カンセイの3社共同開発によるETC車載機だ。 他社の車載機がICカードを差し込むと、本体からべロを出したような状態になるのに対して、カードを挿入すると本体に完全に収納されるというもの。他愛もないものだが、べロ出し状態では車上荒らしを誘発しかねないだろう。 各社が、省電力・コンパクト化と技術指向でひた走るなか、実際の使い勝手への配慮を欠かさなかった日産/カルソニック/カンセイを評価していいだろう。 |