スズキは10月6日、同社初の軽乗用EV新型『e SKY(eスカイ)』を11月16日より発売すると発表した。価格は212万円から。航続距離は軽EVクラストップとなる310kmを実現している。
eスカイは「Easy to Switch」を商品コンセプトに掲げ、ガソリン車から違和感なく乗り換えられる使いやすさと、EVならではの静粛性・スムーズな加速性能を両立した軽乗用EVとして開発された。
◆スズキ車オーナーの乗り換えに期待

販売目標台数は月販1000台。まずはスズキの軽自動車オーナーを対象に、ガソリン車からEVへの乗り換えを訴求するという。
ただ、EVへの乗り換えには「価格、航続距離、充電環境」の課題がある。同日の発表会でメディアからの質問に応じた鈴木俊宏社長は「これはもう全然わからない。やってみなきゃわからない」と打ち明け、「EVのハードルを超えてもらうということが、やっぱり1番大切なのかなという風に思う」と話した。
「スズキの販売の担当者はお客様の車の使い方をわかっている。このお客様にはEVを勧められるとか、そういうような話をしながら、敷居を下げていただきながら乗り換えていただくというような取り組み、営業の頑張りというのが、大きいのかなという風に思う」

「どういう風にガソリン車からEVへの乗り換えが進むかわからないが、スズキのお客様に丁寧に色々説明しながら、EVを理解してもらいながら販売台数伸ばしていくという取り組みをしっかりやっていきたい」(鈴木社長)
また、スズキとして充電インフラの拡充にも力を入れる。軽ユーザーの1日あたりの走行距離は20km程度という傾向から、軽EVの充電は自宅での充電がメインとなる見通しだというが、スズキディーラーへの急速充電器の設置も積極的に進め、EVユーザーの不安払拭をねらう。
2026年末までに全国の店舗250箇所に急速充電器を設置するほか、2030年までには全国の店舗の半数、およそ500箇所にまで拡大する計画だ。
◆価格設定と補助金への思い

eスカイは3グレード体系としているが、装備の違いのみでバッテリー容量や航続距離は同じ。価格設定については212万円からとなるが、この最廉価グレードの「Aグレード」は受注生産。実質的な販売の中心は「Gグレード」(239万円)および「Xグレード」(279万円)となる。
この価格設定について、国内の営業をとりまとめる玉越義猛常務は「相当頑張った」という。
「この価格だったら軽のガソリンを乗っていただいているお客様も乗り換えていただける価格なのかなというところと、本来我々がこのeスカイの持ってる価値に対してどう値付けするんだというところの合意点が今回の価格設定だった。営業部門だけで決める話ではなく、全部の部門を巻き込んでこの価格というのを合意して決定した」(玉越常務)
また、政府による補助金は軽EVの場合58万円が支給される。購入者は中間グレードのGで実質181万円から購入できることになる。200万円以下でEVが買える、というのは大きなインパクトがある一方で、鈴木社長は「バランスが必要」とし補助金に頼らずとも長期的に継続して販売することの重要性を指摘する。

「補助金を設定していただいて本当にありがたいなという風に思う。我々も大切に使わせていただきたいという風に思っている。ただ、補助金でやっぱり気になるのは、どれだけの期間補助していただけるのか。これによってEVの売れ行きは変わると思う」
「(補助金が)つかなくなった時点で売れ行きが落ちるというような問題もはらんでいる。細く長く継続していただくというのは必要なのかなというのと、車業界で言うと、車種間の秩序を乱すような補助金というのは、あまり政策的にはしてもらいたくない。ガソリン車も売っていかなければいけないし、EVや新しいエネルギー車も売っていかなければいけないというようなところでバランスを取るというのは必要」(鈴木社長)
スズキは企業スローガンに「By Your Side(あなたのそばに)」を掲げる。人々の生活に寄り添う軽自動車を作り続けてきたスズキだからこそ、初の軽乗用EVを開発するにあたっては「軽自動車とは何なのか」を改めて突き詰めたという。「本当に必要な機能、必要なものは何なんだというのを追求しながら、生活の足として使われる軽自動車を極めていきたい」と鈴木社長は語った。









