英Altilium、リサイクル電池素材をEV向けバッテリーに、商用レベルの性能達成

Altiliumがリサイクルバッテリー素材を使用した電気自動車(EV)用電池セルの工業規模での製造試験に成功
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英国のクリーンテクノロジー企業Altilium(アルティリウム)は、リサイクルバッテリー素材を使用した電気自動車(EV)用電池セルの工業規模での製造試験に成功したと発表した。

英国バッテリー産業化センター(UKBIC)で実施されたこの試験は、持続可能なバッテリー材料開発における重要なブレイクスルーとなる成果という。

電気化学的試験の結果、リサイクル材料で製造された電池セルは従来の一次材料から作られた電池と同等の性能を示した。これは、リサイクルされたカソード材料が採掘された金属の実用的な代替品となる可能性を裏付けるものだ。

大規模セル組立試験では、Altiliumの「EcoCathode」材料は市販の材料と比較して製造適性に高い同等性を示し、製造工程全体を通じて問題は見られなかった。これらのポーチセルは、同社のデボン州リサイクル施設で生産されたリサイクルEcoCathode NMC 811-2036 CAMを使用して、コベントリーにあるUKBICの最先端施設で製造された。

Altiliumの独自プロセス「EcoCathode」は、使用済みEVバッテリーからリチウムを含む重要金属の95%以上を回収できる。このプロセスは、高い製造一貫性と電気化学的性能を持つカソード材料を生み出すことが実証された。さらに、環境面での利点とコスト削減効果も期待できる。

UKBICで製造されたセルの初期電気化学試験では、Altiliumのリサイクル材料が主要性能指標において市販のベンチマーク材料と比較して1%未満の変動で再統合できる可能性が示された。これはリサイクル材料の優れた一貫性を示している。

カソード材料はリチウムイオン電池の重要な構成要素であり、エネルギー密度、初回サイクル損失、サイクル寿命などの指標で評価される。Altiliumの材料は、初期形成挙動、初回サイクル損失、インピーダンス、初期サイクル特性などの点で市販のベンチマーク材料と同等の性能を示した。

これらの電池セルは今後、大手自動車OEMによる包括的な検証試験を受ける予定。EUのバッテリー規制では、2031年からEUで販売される新しいEVバッテリーには、リチウム、ニッケル、コバルトの最低限のリサイクル含有量が必要となる。Altiliumの電池セルは、この新規制に準拠した英国初の製品となる。


《森脇稔》

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