住友ゴム工業は、タイヤの耐久性能を決定する重要な要因であるゴムの破壊メカニズムを解明したと発表した。
この研究成果は、ドレスデン工科大学(ドイツ・ザクセン州)のGert Heinrich教授との共同研究によるもので、3月6~7日に米国フロリダ州オーランドで開催された米国化学会の招待講演で発表された。
ゴム材料に生じる割れ目や裂け目が進行する「き裂現象」は、タイヤの耐久性能を決定する重要な要因。これまでは引き裂き試験などでゴムの耐久性を評価していたが、き裂先端のミクロスケールでの構造変化については不明点が多かった。
今回の研究では、シミュレーション技術を駆使してゴムのき裂先端にかかる力を解析し、き裂を決定する要因を明らかにした。ゴムのき裂先端では膨張変形を受け、ボイド(物体に含まれる微小な空洞)が発生する。ボイドは成長して合一することで、き裂をさらに悪化させる。一方で、ボイドの発生により、き裂先端に集中する応力が低減することも明らかになった。