日野自動車は1月30日、2025年3月期第3四半期(2024年4月1日~12月31日)の連結業績を発表した。売上高は対前年比112.2%、営業利益は対前年比965.3%、経常利益は対前年比484.8%、親会社株主に帰属する四半期純利益は2653億6600万円の赤字だった。
◆国内売上台数は11.8%プラス、グローバルで微増
日野自動車の国内売上台数は、出荷再開した大型トラックの一部車型の販売が好調で、トラック・バス総合計で3万0900台と11.8%増加した。日野自動車によると、国内トラック・バス市場の総需要は同時期に12万3500台で、前年同期比11.5%増となっている。部品供給の改善などにより各社で生産が回復したため。
海外のトラック・バス市場については、日野自動車の売上台数は6万8900台。主にアセアンでの販売減により前年同期に比べて6.4%減少した。国内と海外の合計で、日野ブランド事業のトラック・バスの総売上台数は9万9700台と前年同期から1.5%の微減となった。
トヨタ向け車両台数はSUVおよび小型トラックともに増加して、総売上台数は10万9600台となり、前年同期から21.2%増加した。
◆12.2%の増収、9.7倍の増益
以上により、日野自動車の売上高は1兆2802億0700万円で、前年同期に比べ1386億9400万円、12.2%の増収となった。損益面では、国内売上台数およびトヨタ向け車両台数の増加に加え、為替円安などもあり、営業利益は450億6700万円となった。これは前年同期に比べ403億9900万円の増益、9.7倍の成長だ。また経常利益は196億9900万円と、前年同期に比べ156億3500万円の増益、4.8倍の成長となった。
いっぽう親会社株主に帰属する四半期純損失は2653億6600万円の損失となった。前年同期は102億6700万円の純損失で、赤字幅が2550億9900万円の減益となった。これは北米認証関連損失2584億1300万円を特別損失に計上したことなどによる。
日野自動車と日野自動車の米国およびカナダ子会社は、米国市場におけるエンジンの排ガス認証の問題について、米国裁判所において訴訟を提起されていたが、1月16日に和解が成立した。第2四半期(中間期)決算の時点で合理的に見積もり可能な額を特別損失として計上していたが、和解により改めて算出した費用を特別損失に計上した。
◆地域別業績
日野自動車の事業をブランド別、地域別に分けると次のとおり。
日野ブランド事業は、日本国内向けトラック・バスの売上高が、主に大型トラックの売上台数の増加により増収となった。海外向けについては、アセアン向けを中心として売上台数が減少し、北米向けの売上台数は増加したものの、全体としては減収となった。トヨタ向けについてはSUVや『ダイナ』などの台数増により増収となった。
地域別では、日本での売上高は8914億1200万円と前年同期比16.4%の増収。セグメント営業利益は298億2300万円で、409億4800万円の増益となった。
アジアでは、タイを中心としたアジア経済の低迷によって売上台数が減少したことなどにより、売上高は3276億9400万円と、前年同期に比べ10.7%の減収となった。営業利益は171億7200万円で、前年同期比36.3%の減益となった。
その他(日本、アジア以外)では、北米を中心として売上台数が増加したことなどにより、売上高は2514億4900万円と前年同期に比べ17.2%増となった。営業利益は9億2500万円で、前年同期の116億8300万円の損失から黒字になった。
◆予想の修正、営業利益はプラスで純利益は赤字幅プラス
トヨタ自動車株式会社からの受託生産車の台数変動並びに当社製品のトラック・バスの国内・海外販売状況を踏まえ、通期の連結業績予想を一部修正した。前回発表の予想と比べて、営業利益は150億円増の450億円、経常利益は80億円減の170億円、親会社株主に帰属する当期純利益は450億円減の2650億円の赤字とした。売上高は1兆6500億円で変わらない。