埼玉県深谷市と埼玉工業大学は6月27日、民間企業と組んで自動運転技術の実用化にむけて「深谷自動運転実装コンソーシアム」を発足したと発表した。今年度後半から約1カ月間、埼工大の自動運転バスに乗客を乗せた実証実験を行う。
◆地域交通の課題解決を“地産地消”で
コンソーシアムに参画する民間企業は、A-Drive、アイサンテクノロジー、損害保険ジャパン、KDDI、ティアフォー、深谷観光バスの6社で、「それぞれの経験や知見を生かして、一丸となってコンソーシアムの活動を発展させ、深谷市の地域交通の課題解決を“地産地消”で実現していく」(埼玉工業大学の内山俊一学長)という。
深谷市が事業全体の企画や進捗を管理し、A-Driveが事業性の検証、アイサンテクノロジーが高精度の3D地図を提供、損害保険ジャパンが自動運転のリスクアセスメント、KDDIが自動運転車両と遠隔監視システムとの通信を提供、ティアフォーが自動運転ソフトに係わる技術支援、深谷観光バスが自動運転車両の遠隔監視や緊急時の対応を担当する。
「自動運転レベル4の解禁に向け、先進的な自動運転技術を導入して、深谷市の公共交通システムのリデザインに率先して取り組むことで、運転士不足や地域公共交通の事業性に対する課題を解消すること目指す」と埼工大の渡部大志教授は強調。24年度には新たなバスを購入して再び試験走行を行い、25年度以降に路線バスでの自動運転レベル4を達成したいという。
◆自動走行の実績は1万554km
埼工大は日本の大学の中でもいち早く自動運転の研究開発に取り組み、2017年10月に『プリウス』を改良した自動運転車を使ってキャンパス周辺の公道で実証実験を開始。その後、19年12月にはマイクロバスの自動運転車をスクールバスとして運行を始めた。ところが、すぐに新型コロナウイルスの感染拡大によって、あえなく実証実験は中止になってしまった。