[プロセッサー活用]クロスオーバーの設定が上手くいくと、後方のサブウーファーの音が前から聴こえる

「クロスオーバー」を搭載したAV一体型ナビの一例(パナソニック・ストラーダ CN-F1X10BGD)。
  • 「クロスオーバー」を搭載したAV一体型ナビの一例(パナソニック・ストラーダ CN-F1X10BGD)。

車室内には、音響的な不利要因がいくつかある。ゆえにそれらへの対処のために、サウンドチューニング機能を搭載した「プロセッサーが用いられる。当連載では、その扱い方を解説している。現在は、「クロスオーバー」機能の設定方法を紹介している。

さて「クロスオーバー」とはこれまで説明してきたとおり、例えばフロントスピーカーとサブウーファーのそれぞれに対して「再生範囲の割り振り」を決める機能だ。なお、中級以上のメインユニットには、このような操作を行える「クロスオーバー」が搭載されていることがある。そしてそれにてサブウーファーを鳴らす場合には、当機能を駆使することで超低音の再現性を上げられる。

で、その操作手順は前回までの記事にて説明したとおりなのだが、今回はその設定が上手くいった場合にサウンドの聴こえ方がどう変化するのかを説明したい。

結論は以下のとおりだ。「クロスオーバー」設定が上手くいくと、シート下に設置した、あるいはトランクに設置したサブウーファーから放たれる超低音が、目の前から聴こえてくるようになる。なお、このような聴こえ方のことは、「低音の前方定位」と呼ばれている。

ところで、カーオーディオの楽しみ方は人それぞれだ。なので、必ずしも「低音の前方定位」だけが正解ではない。車内一杯を重低音で満たすようなパワフルな鳴らし方が楽しまれることもある。しかしステレオ感を重視する場合には、サウンドステージが目の前にリアルに広がった方が良い。そしてそのような再現性を実現するには、超低音も目の前から聴こえてくるようにする必要がある。

かくして、そのような聴こえ方を実現させようと思ったときに、「クロスオーバー」機能が役に立つ。この設定が上手くいくと、フロントスピーカーの音とサブウーファーの音が上手く繫がる(一体化する)。そうすると、シート下やトランクに置いたサブウーファーの音が目の前から聴こえてくる「低音の前方定位」が果たされる。

そのようになるメカニズムは以下のとおりだ。音は、音程が高くなるほど出どころが分かりやすくなる。逆に音程が低くなるほど出どころが分かりにくくなる。なので、高音から超低音までが一体化しているときには、出どころの分かりにくい低音も、高音を再生しているツイーターから鳴らされているものと錯覚するのだ。

サブウーファーを導入しようと思ったときにはぜひ、愛車のメインユニットの「プロセッサー」機能の中身を確認しよう。そして「クロスオーバー」が搭載されていたらしめたものだ。それを活用しない手はない。覚えておこう。

今回は以上だ。次回からはフロント2ウェイスピーカーに対しての「クロスオーバー」の使い方を解説していく。お楽しみに。

《太田祥三》

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