車体幅が変わる搬送用ロボット「トランスフォーマー」…CEATEC 2022

エムスクエア・ラボが出展した試作車『MobileMover Transformer』。左右幅が自在に変化できる
  • エムスクエア・ラボが出展した試作車『MobileMover Transformer』。左右幅が自在に変化できる
  • 車幅を最小幅にした時は450mm(左)で、最大幅にしたとき(右)は幅750mmとなる。車体幅は途中で止めることもできる
  • 駆動力はモーターからダイレクトではなく、リンクを介してタイヤに伝達される
  • CEATEC 2022のAWS(Amazon Web Service)の一角に出展した「エムスクエア・ラボ」(手前)

今、働く現場では深刻な人手不足が続いており、それは物流業界にとどまらず、農業の現場にも及ぶ。そんな中でCEATEC 2022では、静岡県牧之原市に本社を置く「エムスクエア・ラボ」が、農業の現場での活躍を想定したユニークな搬送用ロボットを出展していた。

それが搬送用ロボット『MobileMover Transformer(トランスフォーマー)』だ。この名称を聞けば誰もが「形が変化するのか?」と思うはず。その通り。この試作車は農作業の現場で車体幅を変化させて、たとえば田畑の畝や作業所の出入り口など、幅に制限のある場所でもスムーズに通過できる独自の機構が採用されているのだ。

CEATEC 2022の会場では実際にその“変身”ぶりがデモされていた。車幅を変えるのに要する時間は10秒足らず。その動きは驚くほどスムーズで、変化を終えるとその見事さに思わず手を叩きたくなるほど。その間、外側にはみ出ていた車輪が車体内に収まり、同時にリンク機構との兼ね合いで全長はその分だけ逆に長くなる。まさに映画“トランスフォーマー”の世界観が蘇る。

このトランスフォーマーを試作するに至ったきっかけは、農作業の現場からの声だったという。エムスクエア・ラボはもともと、農産物の小規模物流の効率化を目的に、独自の共同配送のシステムを提供する会社として起業している。そうした経験から生産者とのつながりがあり、農作業の現場で活躍する電動作業車として最初に開発したのが「MOBILE MOVER」だ。このモデルはすでに販売している。

そんな中、利用者から届いたのは「MOBILE MOVERは幅が大きくて通れない場所がある」という声だった。もちろん車体幅を小さく設計すればいい話ではあるが、単純に車体幅を抑えれば荷台の容積までも小さくなってしまう。そこで通常時は作業に十分な車体幅を確保し、その上で必要なときに車体幅を縮めるトランスフォーマーの発案だったというわけだ。


《会田肇》

編集部おすすめのニュース

特集