WHILLが免許返納後に最適なモビリティを紹介---普段から家族で話し合って

WHILLイベントの参加者。左から交通コメンテーター西村直人氏、関根勤さん、関根麻里さん、WHILLの池田朋宏氏(提供:WHILL)
  • WHILLイベントの参加者。左から交通コメンテーター西村直人氏、関根勤さん、関根麻里さん、WHILLの池田朋宏氏(提供:WHILL)
  • WHILL 日本事業本部 執行役員 本部長 池田朋宏氏
  • 交通コメンテーターの西村直人氏
  • 75歳以上の後期高齢ドライバーは免許保有者全体の7.4%
  • 75歳以上のドライバーによる死亡事故の要因1位は「操作不適」
  • 5月13日より高齢者運転者対策として、大きく2つの施策が執られる
  • 個人の返納意思に関わらず、状況次第で免許更新が不可能に
  • 都市部では免許保有率は低いが、地方では日常の交通手段として所持率が高い

次世代型電動車椅子を手掛けるWHILL(ウィル)は、5月13日から施行される道路交通法改正を前に、近距離モビリティを取り巻く現状について記者会見を開催した。イベント後半ではタレントの関根勤さん、関根麻里さん親子によるトークセッションも行われた。

◆近距離移動のマーケットとして電動車椅子に注目が集まる

13日より改正される道路交通法では、75歳以上で“一定の違反歴”がある人に対する運転技能検査の義務化や、自動ブレーキなど安全運転支援機能を搭載車のみに運転を限定する“限定付き免許”が新たに導入される。一定の違反歴とは、過去3年間に信号無視や逆走、速度違反など、いずれ重大事故につながる可能性がある違反とされる。対象者は免許更新時に合格が条件となり、これまでよりも厳しい措置が執られることとなった。

この施行により運転できなくなる人が増えることが予想されており、WHILLではこうした人向けに日常の足として、同社の電動車椅子を役立ててもらうことを期待してのイベントとなった。

冒頭の挨拶に立ったWHILL日本事業部執行役員本部長の池田朋宏氏は、「(13日からの)道路交通法改正の施行が追い風になる。近距離移動のマーケットが着目されていくだろう。“家族における新しいモビリティ”として我々は電動車椅子をさらに後押ししていきたい」と、免許返納後の移動手段としての利用を普及させる目標を掲げた。

また、WHILLでは2021年5月より自動車ディーラーでの取り扱いをスタートさせており、現在は約700店舗が関わる。特に免許返納後の足に不安を持つユーザーが多く、ディーラーからはユーザーとの関係を継続するアイテムとして評価されているようだ。WHILLではこれを機に、家族の「心配」が「安心」に変わる、3つの施策を実施。免許返納後の相談や、WHILLの試乗体験、購入後の定期的な“WHILL車検”(法的に必要なわけではない)を準備したという。

◆実技試験に不合格なら免許更新はなし! 後期高齢ドライバー

続いて交通コメンテーターの西村直人氏が登壇し、今回の道路交通法改正のポイントについて解説した。

まず免許保有の現況について「日本の自動車保有台数は8000万台だが、1人1台に相当する8189万人が運転免許を保有する。そのうち75歳以上の後期高齢ドライバーは609万人で全体の7.4%。10年前と比べると約1.6倍にまで増えている」と説明。その中で問題となっているのは、「後期高齢ドライバーが起こした操作不適による事故で、全体の33.1%にも上り、これは免許保有者全体の3倍近い発生件数」になっているという。

今回の道路交通法改正は、ここにメスを入れたもので、「信号無視や(運転中の)携帯電話使用など一定の違反が見られた場合にこの実技試験が科せられ、もし合格しなければ更新はできず免許は失効する。従来も認知症などが認められた場合に免許の失効があったが、より厳しい対応になる」と解説した。

一方、改正の新たなポイントとして、一般に『サポカー』と呼ばれる「安全運転サポート車」だけが運転できる限定免許「サポートカー限定免許」も導入されることも説明された。衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制おうちなどの運転支援機能を搭載した車両のみを運転できる制度で、後付けできる機能を搭載する車両は対象外となる。

ここで高齢者の免許返納問題について西村氏は言及。それによると「2019年4月に発生した池袋の暴走事故を契機に返納者は急増したが、最近は伸び悩んでいる。特にクルマが生活に直結している地方では返納率が低くなる傾向にある」とした。

西村氏は「返納は家族との話し合いやサポートが欠かせない」とし、たとえば「クルマで擦り傷を作ったり、普段と違う状況が起き始めたら返納を考えるタイミング」と話す。さらに「ドライブレコーダーのイベント記録機能を使い、家族と一緒に映像をチェックすることも重要」で、「夜の運転はしない、流れの速い道路には行かない」といったリスク回避も重要な対応策」とも述べた。

そうした中で、「(WHILLが提供する電動車椅子は)歩行者と同じ扱いとなる6km/hで走れる車両で、免許返納後の足として有効な乗り物」とし、「これによって外出機会を減らすことなく社会に参加でき、結果として健康寿命を長くすることにもつながる」と、WHILLを使うことへのメリットを説明した。

◆免許返納のタイミングは普段から家族で話し合っておくのが大事

イベント後半にはタレントの関根勤さんと、その娘である関根麻里さん親子も登場。関根家におけるクルマとの関わり合い方や、免許返納に対する考え方を話すトークセッションが行われた。

関根勤さんは現在68歳で、21歳の時に最初のクルマとしてセダンを買い、家族ができるとステーションワゴン、大型のゴールデンリトリバーを飼ったタイミングでSUVに乗り換えるなど、その都度のライフスタイルに応じたクルマ選びをしてきたという。

そうした中で免許返納は常に家族と話し合っているとし、「運転が危険だと家族が判断したらいつでも指摘してくれるように頼んでいる。事故を起こしたら自分だけでなく被害者が出るわけで、家族にも迷惑がかかる。これだけは絶対に避けたい」と話す。関根麻里さんも「家族で気楽に(免許返納について)話し合える環境を作っておくことも大事」とした。

その後、会場では関根麻里さんから関根勤さんに『WHILLモデルC2』がプレゼントされるサプライズ。関根勤さんも「リハサールで試乗はしたが、まさかプレゼントされるとは思っていなかった」と思いがけないプレゼントに驚きを隠せない様子だった。

イベントではモデルC2以外に、折り畳みがわずか2秒でできて重量もC2の約半分にまで軽量化した『モデルF』も紹介。関根親子による試乗体験レポートも行われ、「行きたい方向にレバーを倒すだけで前後左右に自由に動け、手を離せばブレーキがかかる」と、誰でもすぐに使いこなせる操作性の良さに感心した様子だった。

《会田肇》

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