フィジカルインターネットとは?
2022年3月8日、経済産業省と国土交通省の両省によって開催されたフィジカルインターネット実現会議は、その最終報告となる「フィジカルインターネット・ロードマップ」を発表した。2021年6月に閣議決定された総合物流施策大綱では、2025年度に向けた施策として「物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化」を掲げたが、そのさらに先の2040年を目標年次としたロードマップである。物流の未来を指し示す指針といってよいだろう。
フィジカルインターネットとは、インターネットの普及によって実現されたことを物流の世界にも適用しようというコンセプトに基づいている。即ち、インターネットになる前のコンピュータ間の通信は、専用回線で発信端末と着信端末を直接接続して行うものであった。それに対して、インターネット通信では、データの塊をパケットという形で定義し、パケットの遣り取りを行うためのプロトコル(交換規約)を定めることで、回線を共有した不特定多数での通信を実現した。
物流も同じである。従来の輸送網は発着の事業者同士を直接結ぶ遣り取りが主流だった。フィジカルインターネットでは、積替をするためのハブを設けること、受け渡しをする単位(貨物の規格)を統一することで、物流リソースの共有化を可能とする。かくて、あらゆる情報を遣り取りできるインターネットのごとく、モノをより効率的に届けられるようになるというわけだ。