【ベンガルール通信 その15】 安全性と信頼性の問題

幹線道路沿いのメトロ建設工事は更なる渋滞要因のひとつ
  • 幹線道路沿いのメトロ建設工事は更なる渋滞要因のひとつ

3月の声を聴き、ジリジリとした日差しを痛くすら感じるようになってきた。

自宅のバルコニーと駐車スペースを覆い、隣地にまで大きく越境して枝を伸ばすアボカドの木が実をつけ始め、近所の使用人や休憩中のオフィスワーカーたちは皆、いつか自らの手元に落ちてくるのを期待しながら、日に日に肥えていくのを見守っている。今の借家を建てた時に植えたというから樹齢50年近くになる大木が年に2度ほど降らせる完熟アボカドは一粒500gを越えるから、屋根を転がったり地面に落ちたりする度、周囲に鈍い音を響かせる。すると、これが一斉スタートの合図となり、日頃はスマホゲームに夢中で顔を上げない警備員も、昼寝中の運転手も、急いで走り寄ってきて暫しのお宝探しに興じる。時に樹上にある間に鳥たちがつまみ食いしていることもあるが、身が残されている限り、皆で分け合うようだ。

我が家の目下の懸念は、車の真上、数メートルに育ち始めた実。これまで枯れ葉や朽ちた枝や、時に足を滑らせたリスまで、散々、色々な落とし物をしてくれているから、知らない間に多少の傷が増えていても気にすることはなくなった。が、今回はその程度で済むだろうか。屋根の鉄板が凹むくらいならまだしも、フロントガラスやサンルーフを直撃したら面倒なことになりそうだ。更に上空にもいくつか実がありそうだが、完熟して自然に落ちてくる前に収穫するには母屋の庭師を説得して登らせねばならないから、それはそれでまた別の手間が掛かる。

《大和 倫之》

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