2021年回顧…脱炭素化でEV戦略強化、半導体不足で減産[新聞ウォッチ 総集編]

豊田章男社長がトヨタのバッテリーEV戦略を発表
  • 豊田章男社長がトヨタのバッテリーEV戦略を発表
  • 東京オリンピック/パラリンピック2020にオフィシャルカーを提供したトヨタ
  • 東京オリンピック/パラリンピック2020選手村に駐車しているeパレット
  • 東京モーターショー2019。背後はMEGA WEB
  • 向かって右:スズキの鈴木相談役(2018年、当時は会長)
  • ホンダの三部社長
  • フェルスタッペン(向かって右、レッドブル・ホンダ)がF1王者に。
  • ホンダ・レジェンド

新型コロナウイルスの感染爆発に怯えながらも異例ずくめの「東京五輪・パラリンピック」が強行開催されたのが、今となっては遠い昔のような気がするが、自動車業界にとってもいろいろあり過ぎた2021年(令和3年)が間もなく幕を閉じる。

改めて、「新聞ウォッチ」で取り上げた話題を中心に2021年を顧みると、まず東京五輪ではメダルラッシュの日本選手はじめ、真夏の炎天下でのアスリートの熱闘ぶりには心の底から拍手を送りたい。だが、五輪開催中「首都高の通行料金1000円上乗せ」や会場周辺の厳しい交通規制、さらに、臨海副都心の選手村ではトヨタ自動車の自動運転巡回バスが、選手と接触する事故が発生するなど、運営面では突拍子もない出来事ばかりが印象に残った。

東京モーターショー2019。背後はMEGA WEB東京モーターショー2019。背後はMEGA WEB

また、選手村周辺で秋に予定していた「東京モーターショー」が、開幕まで半年に迫った4月には、主催する日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)が突然中止を発表。コロナ下ではやむを得ない決断だったが、楽しみにしていたクルマ好きにはさぞかし残念だったことだろう。

そのトップの決断では、40年以上にわたって君臨し続けてきたカリスマ経営者のスズキの鈴木修会長が91歳を迎え、突如“生涯現役”を返上したのは想定外だったが、世代交代で驚いたのは、4月にホンダの新社長に昇格した三部敏弘氏。就任直後の会見でいきなり2040年までにガソリン車を全廃する「脱エンジン」を宣言。30年ぶりの栄冠で有終の美を飾ったF1レースの撤退に続いて、『レジェンド』、『オデッセイ』、『クラリティ』、『S660』、『NSX』など、往年の名車の生産終了も相次いで決定した。ホンダのすばしっこい“ゲームチェンジ”に、水素燃料エンジンの研究開発に取り組み、ハイブリッド車(HV)を含む全本位で電動化を推進するトヨタを筆頭に衝撃が走った。

日産自動車、長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表日産自動車、長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表

その後、「脱炭素化」の動きが加速するなか、世界に先駆けて電気自動車(EV)を量産化した日産自動車がカルロス・ゴーン元会長の逮捕劇から丸3年、「会社の再生に一定のめどが立った」(内田誠社長)として、今後5年間で電動車の開発などに2兆円を投じると発表。トヨタも系列販売店の不正車検や日本製鉄との特許問題などで騒がしいなか、年の瀬が迫ってから、この大晦日に22年の歴史に幕を閉じる「MEGA WEB」で、豊田社長が「EVの2030年の世界販売目標を350万台に引き上げる」などと、電動化戦略の強化をアピールした。これまでの「後ろ向き」批判を覆すためだ。

この1年、脱炭素化の動きとは別に、業界の屋台骨を揺るがしてきたのが、世界的な半導体不足と新型コロナの感染拡大で東南アジアなどからの部品調達が滞っていることだった。各社の完成車工場では減産が長期化して納入が大幅に遅れるなど新車販売に深刻な影響を与えている。人気の車種は「半年待ちもザラ」といったニュースも流れていたほどである。

12月28日付けの日経朝刊によると、2021年の国内新車販売台数は、前年比2%減の450万台前後となる見通しで、リーマン危機後の2009年の実績を下回り、東日本大震災のあった2011年(421万台)に次ぐ低水準に終わるという。ただ、自動車生産は各社とも10月以降は段階的に回復しているようで、来たる2022年は反動増が見込まれるそうだ。だが、一難去ってまた一難、変異ウイルス「オミクロン株」への警戒や年末年始も続くガソリン価格の高騰などが消費意欲の足かせにならなければいいが……。

《福田俊之》

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