トヨタ系15社で6659台の車検不正、佐藤本部長「成果重視で無理をさせた」と猛省[新聞ウォッチ]

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「お客さまの安心と安全を優先せず、損なう結果になったことを何より重く受け止めている」。トヨタ自動車の国内販売事業本部長を務める佐藤康彦氏はこう述べて、「心配とご迷惑をお掛けしました」と陳謝。さらに、「販売会社の経営層が営業成果重視で現場に無理をさせ、メーカーも目標達成型の表彰制度で助長してしまった」と猛省した。

トヨタ自動車が系列の販売会社を調査した結果、計15社16店で車検の不正行為が明らかになったと発表した。対象となる台数は調査のきっかけとなった不正分を含め累計で6659台に及ぶ。国土交通省は7月に不正が発覚したトヨタモビリティ東京の店舗「レクサス高輪」について、車を国の車検場に持ち込まず車検サービスを店で完結できる認証の「指定自動車整備事業」を取り消す処分を下したという。

きょうの各紙にも「トヨタ系不正車検15社、全国6659台」などと報じているが、1面の記事で取り上げたのは朝日と産経の2紙のみ。岸田文雄・前政調会長が決選投票で選出された自民党総裁選挙がなければ、トップ記事として扱っても不思議ではないほどの法令が軽視された重要な問題である。唐突にも不正車検についてのトヨタのオンライン会見が開始されたのは午後3時、総裁選の決選投票の結果発表とほぼ同じ時間帯だったことも少なからず影響し、地味な報道となったとも思われる。

それでも、朝日は経済面のトップでも「販売店と連携強化課題、トヨタ系不正車検態勢にばらつき」とのタイトルで「実効性が問われる」と指摘。毎日も総合・社会面のトップ記事と経済面では「トヨタ式表彰過剰負担、販売店に競争強いる」などと書き分けて詳しく取り上げた。

また、東京は総合面で「速さ優先、法令軽視」との見出しで「トヨタの責任は重く、顧客の信頼回復に向け、抜本的な改革を進められるかどうかが試される」と伝えている。各紙の一連の記事では「整備士減、人手足りず」との表現もあるが、整備士は国家試験に合格した資格のある貴重な「人材」。それを上から目線で人数合わせの「人手」と軽視している点も問題である。

2021年9月30日付

●自民総裁岸田氏、決選投票河野氏破る、4日首相就任、年内に数十兆円対策 (読売・1面)

●ケリー被告懲役2年求刑、報酬不正、日産は罰金2億円 (読売・33面)

●五輪車両でひき逃げ容疑、ボランティア、書類送検へ、警視庁 (読売・33面)

●トヨタ系不正車検15社、全国6659台「目標無理させた」陳謝 (朝日・1面)

●車生産8月17%減、部品調達停滞響く、大手8社 (朝日・9面)

●自動車メーカー電池争奪戦 (産経・10面)

●二輪車を移動手段に、ヤマハ発動機・日高祥博社長(東京・7面)

●オピニオン、トヨタ式「模倣の経営学」(日経・7面)

●米新車販売価格維持力は、奨励金効率スバル首位 (日経・18面)

●欧州拠点に不正アクセス、JVCケンウッド情報流出の恐れ(日経・18面)

●ルネサス、供給能力1.5倍、23年まで、車載用半導体など(日経・19面)

●ガソリン店頭158.7円、調達費上昇(日経・21面)

《福田俊之》

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