ナビタイムジャパンの交通コンサルティング事業は、オリンピック・パラリンピック東京2020大会の開催に伴う首都高速道路の交通規制による影響を調査、結果を9月9日に発表した。交通規制によって高速道路から一般道に転換し、一般道の交通量が増え、走行時間が増加したことがわかった。
東京2020大会の開催にあたっては、イベント関係者の安全で円滑な輸送と、物流を含めた都市活動の安定との両立を図ることを目的とし、イベント開催期間中、首都高の各路線の出入口において、終日閉鎖や交通状況に応じた一時閉鎖が実施された。
ナビタイムでは、一時閉鎖対象の出入口のうち、3号渋谷線三軒茶屋入口と、4号新宿線永福入口の2か所について、自動車の走行経路変化や所要時間について分析した。分析にはナビタイムジャパンが提供するカーナビアプリ(『カーナビタイム』、『トラックカーナビ』他)から取得した走行実績データを活用した。
分析内容
測定日
平常時=規制開始前週の7月12日(月)
規制開始時=7月19日(月)
オリンピック開幕時=7月23日(金・祝日)
パラリンピック開幕時=8月24日(火)
時間帯
日中12時間=7~19時
朝時間帯=7~10時
夕時間帯=16~19時
●首都高3号渋谷線・国道246号の交通状況首都高3号線および国道246号における走行経路の変化
この区間では三軒茶屋入口から首都高を利用する車両が20~25%減少し、並行する国道246号三軒茶屋から池尻方面への平均所要時間が増加している。
平常時は44%が三軒茶屋入口から首都高に乗り、56%が国道246号を走行している。規制開始時には首都高に乗る車両が19%、パラリンピック開幕時には20%と、平常時と比べ約20~25%減少している。
首都高・用賀入口から池尻出口付近までの平均所要時間を見ると、規制開始時はいずれの時間帯も約5~6分で、特に朝時間帯は平常時と比べ7分ほど短縮している。また、オリンピック開幕時は日中12時間、朝時間帯ともに平均所要時間が短縮しているが、夕時間帯はあまり変化がない。パラリンピック開幕時は日中12時間、朝時間帯とも短縮傾向だが、夕時間帯は増加している。
国道246号三軒茶屋から池尻までの所要時間を見ると、規制開始時は平常時と比較して増加している。特に朝時間帯の平均所要時間約17分で、11分ほど増加している。一方、オリンピック開幕時はいずれの時間帯とも大幅に短縮しているが、パラリンピック開幕時はいずれの時間帯も増加傾向だった。
●首都高4号新宿線・国道20号の交通状況首都高4号線および国道20号における走行経路の変化
この区間では永福入口から首都高を利用する車両が10%前後減少し、並行する国道20号高井戸から大原交差点方面への平均所要時間が増加した。
平常時は18%が永福入口から首都高に乗り、82%が国道20号を走行している。規制開始時には首都高を走行する車両が平常時と比べ10%前後減少している。
首都高・高井戸入口から初台出口付近まで平均所要時間を見ると、規制開始時はいずれの時間帯も平均所要時間が約6~7分に短縮、特に朝時間帯は平常時と比べ7分ほど短縮している。また、オリンピック開幕時はいずれの時間帯も所要時間が短縮している。パラリンピック開幕時は日中12時間、朝時間帯とも短縮傾向だが、夕時間帯は増加した。
国道20号高井戸から大原交差点までの所要時間を見ると、平常時は平均約7分だったのが規制開始時は約12分になっている。特に朝時間帯は約21分で、10分ほど増加している。一方、オリンピック開幕時は短縮もしくは同じだが、パラリンピック開幕時はいずれの時間帯も増加傾向だ。
分析結果
規制開始時、オリンピック開幕時、パラリンピック開幕時のそれぞれで、平常時より首都高・三軒茶屋入口付近から渋谷方面と、首都高・永福入口付近から新宿方面へ走行する車両割合の減少と、各高速道路と並行する国道246号、国道20号の走行車両割合の増加が見られた。これらのことからナビタイムでは、普段、首都高を利用するドライバーの一部が並行する国道に転換したと推測する。その結果、首都高を走行する際の所要時間は減少傾向、国道の所要時間の増加傾向につながったと考える。分析対象区間