JR九州は8月24日、2020年度の線区別収支を明らかにした。
1日あたりの平均通過人員(輸送密度)が2000人未満となっている19線区が対象で、赤字額の最大は2019年度と同じく日豊本線佐伯~延岡間で、1億1300万円増の7億8700万円となっている。同区間の輸送密度は353人で、JR九州が発足した1987年と比較した人員の減少率は、297人だった筑豊本線桂川(けいせん)~原田(はるだ)間と並ぶ90%で、JR九州最大となっている。
また、輸送密度の最小は、2019年度と同じく豊肥本線宮地~豊後竹田間の109人(減少率89%)だが、同区間は2016年4月に発生した熊本地震により肥後大津~阿蘇間が長期不通になる前の2015年度は463人を数えていたため、これを除くと、日南線油津(あぶらつ)~志布志(しぶし)間の171人(減少率74%)となっている。
2019年度は輸送密度106人(減少率82%)だった肥薩線人吉~吉松間と同線八代~人吉間は、令和2年7月豪雨の影響で長期運休となっているため、収支計上されていない。
一方、これら以外の幹線や地方交通線における線区別利用状況も発表されている。
このうち輸送密度のトップは鹿児島本線小倉~博多間の5万6372人で、減少率は18%。反面、同線の久留米以南は鹿児島中央~鹿児島間を除いて軒並み減少率が50~70%台と苦戦している。鹿児島本線全体では8%というわずかな減少率に留まっているが、これは福岡都市圏を中心とした門司港~久留米間における輸送密度の高さによるもの。
福岡都市圏では篠栗線吉塚~笹栗間や筑肥線筑前前原(ちくぜんまえばる)~姪浜(めいのはま)間で180~250%程度の増加率(対1987年)になっており、改めて九州における南北の格差が浮き彫りになっている。
なお、2022年秋の西九州新幹線武雄温泉~長崎間の開業後に上下分離される長崎本線肥前山口~諫早間は輸送密度が3317人で、63%の減少率となっている。新幹線開業後もJR九州単独で運行される諫早~長崎間は1万941人で、27%の減少率となっている。