南インドよりナマスカーラ!
前回記事「ベンガルール通信 その1」を公開して程なく、紹介したケンペゴウダ国際空港と都心を結ぶ鉄道について、開業直後の実態が報じられた。わざわざ「関係者も困惑」と見出しに謳っているところを見ると、よほど意外な結果だったのか。事業責任者を務める上級管理職からすれば、自身や家族は決して使うことのない「庶民向け」サービスに格安10インドルピー (14円) の値付けをして、「この値段なら市民は使うはずだ、いやむしろ積極的に使うべきだ」と信じて疑わなかったのかもしれない。
地域行政や地場有識者が少なからず関わり、地元の英知を結集して実現されたはずの一大事業であっても、前評判に釣られて実物を見てがっかりさせられるのは当地の常。大規模施設などの開業は日本で言う「グランド・オープン」に対して、「ソフト・オープン」とも称される。例えプロジェクト全体が完全に出来上っていなくても、一区画でも営業できる状態に至ったなら、テナントと客を入れて事業を開始してさっさと投下資本を回収しよう、という考え方が根底にある。むしろ、当初からそうすることが前提だったり、そうでもしない限りキャッシュが回らないような事業計画・資金状況だったりもする。