ホンダの人事・コーポレートガバナンス本部の鈴木麻子本部長は9月29日、オンラインの記者会見を開き、コロナ禍に対応した新しい働き方を推進するため、人事・労務制度の変更や新設を明らかにした。
ホンダでは各事業所によって比率は異なるものの、在宅勤務が高いレベルで定着しており、10月1日から通勤手当の定額支給廃止などを導入する。同社の国内従業員は4万2000人となっているが、コロナ禍による緊急事態宣言時には最大で約3万人が在宅勤務となった。とくに東京都港区にある本社ではピーク時に90%程度、9月についても50~70%の在宅勤務比率となっている。
このため、勤務実態に応じた制度変更を行うこととした。通勤手当についてはこれまで1か月の固定額支給だったが、出社日数に応じ、1日当たりの往復運賃またはガソリン代を基にした支給に切り換える。全従業員が対象となる。
また、在宅勤務の許可を得て実施した従業員に対しては、1日250円の在宅勤務手当てを支給する。光熱費や通信費の補助とするもので、1日のうち、在宅勤務が1時間以上となった時に対象とする。勤務先は自宅だけでなく、外部のワーキングスぺーズ利用なども認められる。ホンダのこうした制度の見直しや導入は、自動車業界では先導的な取り組みとなる。
さらに、今夏からオフィスのレイアウト見直しにも着手しており、出社率に応じた机などの配置や、ソーシャルディスタンスを踏まえたミーティングスペース、個人ブースの設置などを各事業所で推進している。
鈴木本部長は、コロナ禍と働き方について「これまでにない在宅勤務などを経験することで、今まで考えてこなかった働き方ができることも分かった。必要以上に移動や会議に時間を費やしていたことも顕在化し、(見直しで)たとえば出張は従来の1割以下になっている」と指摘した。そのうえで、手当制度やオフィスの変更などにより「コロナ前の働き方に戻るのではなく、出社の勤務でも在宅勤務でも、一人ひとりが生産性高く働くことができるようになるのではと考えている」と述べた。