【BMW F900XR 海外試乗】アドベンチャーのDNAを持つ快適スポーツツアラー…佐川健太郎

BMW F900XR
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ワイルドな舗装路を走破するためのマシン

BMW『F900XR』はスクリーンの付いたハーフカウルに長めのサスペンションを装備し、長距離を快適に駆け抜ける「アドベンチャースポーツ」モデルである。一般的にはオンロードとオフロードの中間的なクロスオーバーモデル、あるいは足長スポーツツアラーと呼んだほうがピンとくるかもしれない。「XR」のようなジャンルは実は欧州では昔から人気のカテゴリーで、各メーカーで同じようなコンセプトのモデルを出している。

例えばドゥカティの『ムルティストラーダ』やトライアンフの『タイガースポーツ』などもこれに属すると思われる。純粋なアドベンチャーと異なるのは前後17インチのキャストホイールにオンロードタイヤを履いていることだ。その背景には欧州の道路事情がある。今回試乗会が開催されたスペインの山岳路も岩を削ってアスファルトを流しただけのような路面も多く、とにかくワイルド。そうした環境でスポーティかつ快適に距離を伸ばしたいユーザーのためのマシンなのだ。

楽なライポジで足着きも悪くない

BMW F900XR
ベースとなったのは『F850GS』で、排気量を895ccへと拡大した水冷並列2気筒エンジンやスチール製ブリッジフレームなどの基本構造はネイキッドタイプの『F900R』と共通。3種類のグレード(ベース/スタンダード/プレミアムライン)によって電子制御パッケージの仕様も異なる点も同じだ。この辺りの詳しい機能については「R」のインプレッションを参考にしていただきたい。

「R」と明らかに異なるのは見た目で、2灯式LEDヘッドライトを採用したハーフカウルに2段階調整式のスクリーンが付いて、前後サスペンションのストローク長がそれぞれ35mm/30mm延長されている。ライポジは上体が起きてヒザの曲がりも緩い楽な姿勢で、シート高も825mmと「R」よりたった10mm高いだけ。しかもサスペンションの初動がソフトで沈み込み量も多め。さらにオプションで6種類のシート高(775mm~870mm )から選べるなど、この手の足長モデルで不安材料となる「足着き」についてもほぼ問題はないはずだ。

ハンドリングは素直で軽快なオンロード仕立て

BMW F900XR
F850GSから10ps増しの105psを発揮する水冷並列2気筒エンジンは270度クランクによる不等間隔爆発のパルス感が気持ち良く、低中速トルクも厚く、高回転までスムーズに回るフラットな出力特性が特徴。扱いやすいサイズ感と220kg台の軽い車体、程よいパワー感が上手くバランスしていて乗りこなしている実感が持てるのがいい。

オンロード主体の前後17インチホイールを装着しているためハンドリングも軽快でナチュラル。それでいて「R」よりも挙動はゆったりしている。また、高速道路ではハーフカウルの有難さを実感。優れた空力特性と2段階に高さと角度を調整できるスクリーンのおかげで、上体を起こしたままでもヨーロッパ標準の巡行速度で快適クルーズをこなすことができた。

荒れたワインディングでも生き生きと走る

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ワインディングではアドベンチャースポーツの真価を発揮してくれた。試乗会の舞台になったワインディングは時に滑りやすく、激しいアップ&ダウンで荷重が抜けてヒヤッとする場面もあったが、F900XRはしなやかな長い足とトラクタブルな出力特性によって路面の凸凹をいなしつつ柔軟にトレースしてくれる。

軽量プラスチック溶接タンクと低重心マフラーによるマス集中効果も少なくないはず。サスペンションの伸び縮みのタイミングを生かしてタイトな切り返しも軽快にリズムを刻むことができた。一方で、路面の良い場所では「ダイナミックモード」に切り替えてエンジンの瞬発力を引き出しつつ、ダイナミックESAによるハードセットを組み合わせることで、さらにスポーティな走りを楽しむことも可能。

BMW F900XR
加えてABSやASC(トラコン)、MSR(エンジン・ブレーキ・コントロール)などの最新電子制御がサポートしてくれるので心強いことこの上ない。さらに夜間であれば新装備のアダプティブ・ヘッドライトの有難さを実感したことだろう。

過酷な環境、タフな道ほど輝きを増すF900XRは、まさにオンロードを突っ走るアドベンチャーツアラーである。ベースがF850GSであることを考えれば、それも納得できるわけだ。

BMW F900XR
■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
ハンドリング:★★★★★
快適度:★★★★★
タンデム:★★★★
オススメ度:★★★★★

佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

《佐川健太郎》

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