コンセプトカーが得意、ファブレスのカブクが2カ月で完成したクルマ…ものづくりワールド2019

カブクが展示した「Postee(ポスティ)」
  • カブクが展示した「Postee(ポスティ)」
  • カブクが展示した「Postee(ポスティ)」
  • これまでにカブクがつくった試作品

東京ビッグサイトで6~8日開催された「ものづくりワールド2019」の会場で、丸い饅頭のような赤いクルマを発見した。それは「Postee(ポスティ)」と呼ばれるティアフォーの配送・配達サービス用のコンセプトカーで、低速型の完全自動運転EVだ。

実はこのクルマをつくったのは、東京・新宿に本社を構えるカブクだ。試作品のデザイン、設計、開発、製造を手がける会社で、自社工場を持たない。オンラインによる製造を実現する次世代プラットフォームを確立し、最適な工法・工場をマッチングして試作品をつくっている。

しかも依頼を受けてから納品までが非常に早い。「ポスティについては2カ月で完成させました。試作品づくりに自動車会社をいろいろ当たったそうですが、どこも作りたがらなかったのでうちが作ったんです。おそらくうち以外の会社では、2カ月で完成させることは難しいでしょう」と同社関係者は話す。

もちろんコストも安い。というのも、依頼者から図面などをもらうと、すぐにオンラインで契約工場数百カ所から見積もりを取り、最適な工場に製造を依頼しているからだ。ものによっては、見積から数日での納品が可能だという。

同社のブースにはこれまで製作した試作品のパネルが飾られ、見たこともあるようなクルマもあった。同社関係者によると、これまでにトヨタ自動車やホンダと取引実績があるとのことだ。

ここで、展示品のポスティについて説明すると、ティアフォーを中心に開発中のオープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」と小型カメラ、LiDARが搭載され、周囲の物体検出、自車位置の推定、走行経路の策定、運転判断といった完全自動運転に必要な機能を装備している。

前後左右前面には荷室扉を、側面には投函口も配し、車内は全室荷室構造になっている。ドライバー不足への対応や過疎地での活用を目指しているそうだ。全長3285mm、全幅1660mm、全高2000mmで、重量が約800kg。車体はFRP(繊維強化プラスチック)だ。最高速度は20km/h弱だが、60km/hまで対応できるようになっているという。

「依頼があれば、なんでもつくる方針です」と同社関係者は力強く話す。同社のモットーは「新しい“つくる”を通して、社会を楽しくするお手伝いする」とのことだ。

《山田清志》

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