石井啓一国土交通大臣は1月15日に開かれた会見で、JR東日本が検討していると報道されている、東北新幹線盛岡~新青森間の速度アップについての見解を明らかにした。
東北新幹線は1982年6月に大宮~盛岡間が暫定開業したが、これは当時の国鉄により建設されたもので、2010年12月に開通した盛岡~新青森間は全国新幹線鉄道整備法(全幹法)に基づく「整備新幹線」として国が建設し、JR東日本に貸し付ける形で運営されている。
全幹法は50年近く前の1970年に制定され、これを基に1973年には国の新幹線整備計画が決定しており、現在は、北海道新幹線新函館北斗~札幌間、九州新幹線西九州ルート、北陸新幹線金沢以西を除いて開業済となっている。
しかし、全幹法が制定された当時は、営業最高速度が210km/hの東海道新幹線のみだったこともあり、整備計画で規定された最高速度は260km/hに制限され、建設もそれに合わせて行なわれている。
報道によるとJR東日本では2030年度の北海道新幹線札幌延伸を見据えて防音対策を強化した上で320kmへの速度アップを検討したということだが、整備計画の規定上、同社が独自の判断で行なうことはできない。
石井大臣は、報道については承知しているとしながらも「JR東日本によれば、東北新幹線の盛岡・新青森間について、『時速320km運転を実現する方針を固めた』という事実はないと聞いております」と延べ、報道の内容を否定した。
反面、「新幹線の高速化は、利用者の利便性の向上が図られることに加えて、交流人口の増加や地域の更なる振興等の観点から、意義のあることと考えております」として、国土交通省として必要な対応を検討する考えを示している。