飲酒運転での3人死傷事故、裁判所は危険運転罪の適用を認めず

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昨年5月、大阪府大阪市中央区内で乗用車を飲酒運転し、3人を死傷させる事故を起こしたとして、危険運転致死傷の罪に問われていた26歳の女に対する裁判員裁判の判決公判が2日、大阪地裁で開かれた。裁判所は危険運転罪の適用を認めず、過失致死傷の罪で実刑を命じている。

問題の事故は2015年5月11日の午前3時45分ごろ発生している。大阪市中央区西心斎橋2丁目付近の市道(幅員約4mの直線区間)で、道路沿いの駐車場から進出してきた乗用車が暴走。前方を走行していた2台の自転車に衝突するとともに、近くにあるビルの外壁に突っ込んで停止した。この事故で自転車に乗っていた24歳の女性が死亡。別の2人も重軽傷を負った。

クルマを運転していた25歳(当時)の女は酒気帯び状態で、警察は過失傷害や飲酒運転の現行犯で逮捕。検察は自動車運転死傷行為処罰法違反(過失致死傷)の罪で起訴したが、死亡者の遺族が危険運転致死傷罪の適用を求めて上申書や約17万人分の署名を提出。検察は補充捜査を行った上で裁判所に訴因変更の申し立てを行っていた。

被告も酒(ビール3~4杯)を飲んだこと自体は認めており、公判ではアルコールが運転に与えた影響が争点となっていたが、2日に開かれた裁判員裁判の判決公判で大阪地裁の飯島健太郎裁判長は「事故直後には被告自身が同乗者に対して救急車を呼ぶように指示していたり、駆けつけた警察官もアルコール検知を実施するまでは被告の酒気帯び状態に気づかなかったことから、アルコールの影響は弱いものだったと考えられる」とした。

その上で「事故はペダル踏み間違えが原因となって発生した」と認定。運転操作を誤って車止めに乗り上げたことや、前進動作を行った際に被害者の自転車が視界に入ってきたことでパニック状態になり、これがペダルを踏み間違える要因になったと指摘。「結果的にはペダルを踏み間違えてしまったものの、被告はブレーキを掛けようとしていたと推認できる」と判断し、ここでもアルコールの影響を否定。検察が求めていた危険運転罪については「泥酔などで正常な運転が困難な状況に陥っていたとは認められず、成立しない」として適用を退け、過失致死傷罪の適用を決めるとともに、懲役3年6か月の実刑判決を言い渡している。

《石田真一》

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