物流デベロッパー・トップの視点……GLP・帖佐義之社長、高級ではなく快適さ追求

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帖佐社長は、提供メニューの拡充で「高付加価値化を促進する」と話す
  • 帖佐社長は、提供メニューの拡充で「高付加価値化を促進する」と話す
  • 7月に竣工した「GLP座間」。環境に配慮し屋根全体に太陽光発電パネルを設置した

 世界各地で大型の先進的物流施設開発を精力的に展開するグローバル・ロジスティック・プロパティーズ(GLP)。帖佐義之社長は「概念として既存の物流施設に存在しなかった機能を入れたい」と革新的な施設造りに意欲を見せる。国内外の顧客に提供するメニューの拡充に一段と力を入れ、施設の高付加価値化を進める考えだ。

 --足元の事業環境は。

 「開発中の物件も含め国内で98棟、延べ490万平方メートルの物件を運営しており、物流不動産業界では約3割のシェアを握っている。新規の案件は開発が中心で、既存施設の取得や資産運用は、12年に上場させたGLP投資法人(GLPJリート)が主に行っている」
 「11年にカナダ年金基金投資委員会(CPP Investment Board)との共同出資で立ち上げた合弁企業の分も含めると、現在12棟の物件を開発中で、今年1年間で8棟(総事業費約870億円)の新規物件が竣工する予定だ。開発ペースが例年よりも加速している」

  --市場は活況を呈している。

 「テナント側からの問い合わせは多く、業界全体の賃貸需要は増えていると感じる。当社も14年は過去最大級の供給量を記録した。13年に建築費が急上昇し、どの企業も軒並み賃料を10~15%引き上げたが、それでも堅調に成約面積が伸びているということが、需要の底堅さの証明と言える」
 「他業界の大手企業や機関投資家の新規参入が相次いでいる。有名な大手企業の参入は、業界の認知度アップにつながる。マーケットの認知度や供給が増えることで需要が喚起され、今は需要と供給が良好なバランスで両方増えている。資金さえあれば参入できる他の不動産セクターと異なり、物流不動産業界には技術力や企業のキャパシティー、独自のノウハウなどが必要だ。競争激化を心配する声もあるが、こうした制約がある限り、健全な競争環境にあると考えている」

 --今後の事業展望をどう描く。

 「顧客が求める用途や使用期間、考え方に応じた施設が整備できるようにメニューの拡充に努める。それが施設の高付加価値化につながる。高付加価値化を進め、施設の快適さを追求する。快適さは高級とは違う。良好な庫内環境を創出することで、『倉庫は暗くて暑くて寒い』などの悪いイメージを払しょくする。供給側からのこうしたアプローチが、物流業界の人材確保の一助になれば幸いだ。労働者を確保しやすい環境整備は顧客へのアピールにもつながる」
 「新規物件の開発は、今後も年間700億~800億円のペースで進めたい。目標にとらわれず、良い事業機会と判断すれば積極的につかんでいく。海外事業では、昨年、米国に進出したが、毎年どこか新しい国に進出するというような定量目標は考えていない。不動産事業は市場のタイミングにいかに機動的に対応できるかが重要だ。さまざまな国にアンテナを張り、チャンスが来た時に動けるようにしておきたい」。

物流デベロッパー・トップの視点(3):GLP・帖佐義之社長、高級ではなく快適さ追求

《日刊建設工業新聞》

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