東京23区のチンチン電車、都電荒川線。いまこの“スローな電車”がさらに減速し、控えめに走るエリアがある。都電雑司ヶ谷電停と鬼子母神前電停の間だ。この区間で現在、都電の下に2車線の地下道路をつくる工事がすすめられ、地上の都電の線路も大きく変わったからだ。
都電に平行してつくられている新たな道は「環状第5の1号線」。この環5-1は、渋谷区広尾五丁目から北区滝野川二丁目にいたる14kmの都市計画道路で、事業期間は2019年春まで。都電の鬼子母神前電停の前後では、地上2車線、地下2車線、電線類の地中化、街路樹の植栽などが整備される。
都電の直下に地下道をつくる関係で、都電雑司ヶ谷と鬼子母神前の間では、早稲田方面の線路が都心側(東側)に5mほど移設された。早稲田行き電車は、既存の線路から新設の線路へ移るさい、S字カーブを行くためその手前でやや減速する。
8月中旬、この区間の“谷間”となる大鳥神社付近の踏切に立つと、いつも以上に慎重に走る電車の姿があった。3線ぶんの幅を持つ新たな架線柱の下を、ガードマンに見守られながらゆっくりと走っていく。
この“都電直下の地下道路”が完成すれば、環5-1が池袋駅前付近で混雑する明治通りのバイパスルートを担うことになり、「環状方向の道路ネットワーク強化」「池袋駅周辺の交通混雑の緩和」「地域の安全性・防災性の向上」(東京都)なども期待されるという。