鉄道の災害運休区間、雪害運休が解消…4月末

鉄道 企業動向
4月末の災害運休区間。雪害による運休区間が解消された。
  • 4月末の災害運休区間。雪害による運休区間が解消された。
  • 日高本線鵡川~様似間は再開までに最短でも4年程度かかる見込み。JR北海道は自社単独での復旧を事実上断念している。写真は日高本線の静内駅。
  • 気仙沼線BRTは6月27日から運行区間を前谷地~柳津~気仙沼間に拡大する予定。前谷地~柳津間は鉄道とBRTが並行して運行されることになる。写真は柳津駅。

災害による鉄道路線の長期運休区間は、4月末時点で計404.8kmだった。留萌本線留萌~増毛間と只見線只見~大白川間の運行が再開され、雪害による運休区間が解消。運休距離は3月末に比べ37.5km減少した。

5月は東日本大震災の運休区間のうち、仙石線が再開する予定だ。

■JR北海道 日高本線 鵡川~様似(北海道) 116.0km
今年1月に発生した低気圧による高波の影響で、厚賀~大狩部間の線路脇の土砂が削り取られたため運休中。バスによる代行輸送が行われている。JR北海道は自社単独での復旧を事実上断念しており、仮に公的な支援を受けても再開までには4年程度かかる見込みだ。

■JR東日本 山田線 宮古~釜石(岩手県) 55.4km
2011年3月に発生した東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。代行輸送は行われていないが、岩手県北バスと岩手県交通の路線バスが並行して運行されている。三陸鉄道が列車の運行を引き継ぐことを条件に復旧が決まり、3月から工事に着手した。

再開時期は未定だが、JR東日本が沿線自治体に示した工程素案では、宮古~豊間根間と鵜住居~釜石間を2016年秋までに再開し、豊間根~吉里吉里間を2017年度内に再開。最後の吉里吉里~鵜住居間は2018年度内に再開させるとしている。

■JR東日本 大船渡線 気仙沼~盛(宮城県・岩手県) 43.7km
2011年3月に発生した東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。2013年3月から鉄道復旧までの暫定策としてバス高速輸送システム(BRT)を導入し、線路敷地の一部を活用したバス専用道が整備された。

現在のBRT運行区間は気仙沼~盛間(長部経由)と鹿折唐桑~上鹿折間、陸前矢作~陸前高田間。このうち気仙沼~鹿折唐桑駅付近間2.3kmと竹駒駅付近0.5km、小友駅付近~大船渡~盛間13.2kmは専用道を走行する。ただし大船渡駅付近は土地区画整理事業の実施に伴い、現在は一般道経由に変更されている。

■JR東日本 気仙沼線 柳津~気仙沼(宮城県) 55.3km
2011年3月に発生した東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。2012年8月から鉄道復旧までの暫定策としてBRTを導入し、線路敷地の一部を活用したバス専用道が整備された。

BRTは気仙沼線の不通区間と同じ柳津~気仙沼間で運行されており、陸前戸倉~志津川間のうち陸前戸倉寄りの3.5km、志津川~清水浜間の中間部3.8km、歌津~陸前小泉間のうち陸前小泉寄りを除く5.1km、本吉~小金沢間のうち本吉寄りの2.0km、陸前階上~最知間とその前後の5.0km、不動の沢~気仙沼間3.3kmは専用道を走行する。ただし志津川~清水浜間は早朝や夜間の一部を除いて専用道を通らず、一般道区間に設置したベイサイドアリーナ駅を経由する。

6月27日からは、BRTの運行区間が前谷地~気仙沼間に拡大する予定。前谷地~柳津間は鉄道とBRTが並行して運行されることになる。

■JR東日本 仙石線 高城町~陸前小野(宮城県) 10.5km
2011年3月に発生した東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。代行バスは不通区間の外側を含む松島海岸~矢本間で運行されており、列車と代行バスの乗換地点も松島海岸・矢本両駅となっている。

津波対策としてルートを内陸側に移設する工事が現在進められており、今年5月30日に再開することが決まった。ルートの変更を伴うため営業距離も変更され、3月14日付で1.2km短い10.5kmになった。

このほか、東北本線塩釜~松島間と仙石線松島海岸~高城町間の線路が接近する部分に新しい接続線(仙石線・東北本線接続線)を整備。高城町~陸前小野間の再開と同時に開業する。これに伴い、仙台~石巻間を東北本線・接続線・仙石線経由で結ぶ新系統「仙石東北ライン」が運行を開始する。

■JR東日本 常磐線 竜田~原ノ町(福島県) 46.0km
2011年3月に発生した東日本大震災による福島第一原子力発電所事故の影響で運休中。途中の夜ノ森・大野・双葉各駅は帰還困難区域、富岡・浪江・桃内・小高・磐城太田各駅は避難指示解除準備区域になっている。

並行する国道6号は2014年9月15日、自動車で通過する場合に限定して通行規制が解除されている。これを受けてJR東日本は今年1月31日から代行バスの運行を開始した。途中駅は全て通過している。

国土交通省は今年3月、この区間の再開時期の見通しを示しており、竜田~富岡間は「3年以内(2018年まで)をめど」、浪江~小高間は「遅くとも2年後(2017年)」、小高~原ノ町間は「2016年春まで」にそれぞれ再開の見込みとしている。帰還困難区域の富岡~浪江間も今夏には再開時期が示される見込み。

■JR東日本 常磐線 相馬~浜吉田(福島県・宮城県) 22.6km
2011年3月に発生した東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。バスによる代行輸送は不通区間より広い相馬~亘理間で行われており、宮城方の列車とバスの乗換地点も浜吉田駅ではなく亘理駅となっている。ルートを内陸側に移設する工事が進められており、2017年春にも列車の運行が再開される予定。

■JR東日本 只見線 会津川口~只見(福島県) 27.6km
2011年7月の豪雨で橋桁が流失するなどの被害。バスによる代行輸送が行われている。この区間はもともと利用者が極度に少なく、JR東日本は今のところ復旧の可否を明らかにしていない。

■大井川鐵道 井川線 接岨峡温泉~井川(静岡県) 10.0km
2014年9月の大雨で土砂崩れが発生し、末端側の接岨峡温泉~井川間のみ運行を見合わせている。復旧には相当な時間がかかる模様。

■JR東海 名松線 家城~伊勢奥津(三重県) 17.7km
2009年10月の台風18号により橋台の流失や土砂の流入などが発生。バスによる代行輸送が行われている。JR東海は当初、鉄道を廃止する方針を打ち出していたが、関係自治体が鉄道施設周辺の治山事業などを実施することを条件に復旧の方針に転換。2013年5月から工事に着手した。2016年春に再開する見込み。

◎再開:JR北海道 留萌本線 留萌~増毛(北海道) 16.7km
線路脇の斜面で雪崩が発生する恐れがあるとして運休していたが、4月29日から運行を再開した。

◎再開:JR東日本 只見線 只見~大白川(福島県・新潟県) 20.8km
大雪の影響で運休していたが、4月17日から運行を再開した。

《草町義和》

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