佐世保観光コンベンション協会などは、2015年4月から運航を開始する「佐世保港クルーズ」を先行公開。約1時間のクルーズで、後半30分は、米海軍のLCAC施設や弾薬補給所、海上保安庁の無線塔、今春開港する国際ターミナルなどを海上から間近に見た。
安栄丸水産「ばらもん」(19t、定員95人)に乗り、米海軍佐世保基地、米海軍赤崎貯油所、潜水艦接岸岸壁、護衛艦「きりさめ」「しまかぜ」、イージス艦「あしがら」、旧日本海軍の佐世保海軍工廠などをルーツとする佐世保重工業(SSK)などを海上から眺め、後半30分で、横瀬、針尾、崎辺、前畑と、米軍の弾薬庫などが続く土地を見ていく。
まず、横瀬地区で真新しいグリーンのシャッターや、地方空港にあるような小さな管制塔が目に飛び込んでくる。同船の解説スタッフは「これは2012年に完成したLCAC(エルキャック、Landing Craft Air Cushion)施設。揚陸艇、いわゆるホバークラフト型の上陸用舟艇を整備する場所。最大12機が駐機できる」と話していた。海上からは1から4まで番号が振られた格納庫が見えた。
その先に見えてくるのは、天高くそそり立つ巨大なコンクリート製の塔。大正時代、日本海軍などが使用した電波塔「針尾無線塔」だ。「日本一の高さ、最も古い無線塔として残り、国の重要文化財に指定されている。現在は海上保安庁が所管している」とスタッフはいう。
こんどは、沖で待機する米海軍補給艦「ウォリー・シラー」(WALLY SCHIRRA)のすぐ脇をかすめ、針尾や前畑の土地を眺めると、三角屋根の建屋と、そのまわりを囲むように釣竿のような長い棒が立っているのが見える。
「これらは米軍弾薬集積所や弾薬補給所で、まわりの棒は避雷針。このあたりは『第7艦隊で東洋最大の弾薬庫』といわれるエリアもある」(スタッフ)
海上自衛隊の係留施設で並ぶ船を見ながら、最後の三浦地区を眺めると、「SASEBO PORT」と記された新しい建物が見えてきた。スタッフは「入出国の審査手続きができる佐世保港国際ターミナルで、今春から供用を開始。国際定期船や大型クルーズ船が接岸でき、今後、多くの人でにぎわう地となるだろう」と続けた。
佐世保港(させぼ五番街付近)から、平瀬、立神、赤崎、庵崎、横瀬、針尾、崎辺、前畑と軍関連施設の拠点があるエリアを反時計回りに1周する船の旅は、約1時間。料金は大人2000円を予定。「横須賀、舞鶴、呉に次ぐ、佐世保の軍港クルーズがいよいよ始まる。ハウステンボスリゾートや九十九島パールシーリゾート、佐世保グルメなどといっしょに、『海風の国、佐世保』を楽しんでほしい」と市関係者は話していた。