【マツダ ロードスター プロトタイプ 試乗】持て余さないパワー感がむしろ心地よい…藤島知子

試乗記 国産車
マツダ ロードスター プロトタイプ
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ライトウェイトスポーツの魅力を現代に受け継ぐマツダ『ロードスター』は、ドライバーにクルマを手足のように操る楽しみを与え、スポーツカー本来の魅力を手軽に楽しませてくれる貴重なモデルだ。

過去に登場したモデルたちは愛着が沸くキャラクターが特徴といえたが、クルマのポテンシャルがリードするのではなく、ドライバーを主役として引き立てる。そんな絶妙なバランスがオーナーたちに充実感をもたせてきた。その点、4代目として登場するND型は、ずいぶん大人に似合うクルマに変化した。その一例が人間が乗っている時の姿を意識してデザインされたエクステリア。インテリアについてもレザー仕立てに見せるダッシュパネルや質感を高めた装備を施し、現代的にアップデートされている。

今回の試乗車は市販モデルではなく、あくまでもプロトタイプであることが前提で試乗。睨みを効かせた顔つきはこれまでよりもパワフルな走りを想像させたが、実際に走らせると身体が押しつけられるような強烈なパワーを発揮するワケではなく、持て余さないパワー感をむしろ心地よく感じられるものだ。先代よりも小柄になったボディ、100kg程度のダイエットに成功しているので、エンジンが先代の2リットルの自然吸気から1.5リットルの自然吸気に小排気量化されていても、スタートダッシュは軽快に感じられる。

「どんな人が乗ってもクルマの動きを感じ取れるように意識した」というセッティングは、40km/h~60km/h程度で流す場面でもアクセル操作に対しては、リヤをわずかに沈み込ませて加速する姿勢、ブレーキをかければフロントが沈み、前後に荷重が移る感覚が得やすくしていたりと、操作しただけクルマが動く感覚を分かりやすい現象でドライバーに伝えてくる。195/50R16サイズのタイヤを装着した足回りは、カーブを走り抜ける際、スポーツカーとしては大きめのロールを許容しながら、大らかなリズムで姿勢を変化。誰もが危うげなくカーブを通過していける安心感を与える。

一方で、鋭いレスポンスを求める人にはまったりとした動きに捉えられるかも知れない。リヤタイヤがアクセルに直結するようなビビッドな走行感覚は与えていないので、そうした走りを求める人には購入後に自分好みのセッティングを施す楽しみが与えられているように感じる。そのあたりは、現段階ではグレード構成も明らかにされていないので、メーカー側の今後の商品展開に期待したい。

■5つ星評価
パッケージング: ★★★
インテリア/居住性:★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

藤島知子|モータージャーナリスト
幼い頃からのクルマ好きが高じて、2002年からワンメイクレースに挑戦。市販車からフォーミュラカーに至るまで、ジャンルを問わず、さまざまなレースに参加している。2007年にはマツダロードスターレースで女性初のクラス優勝を獲得した経験をもつ。現在はクルマの楽しさを多くの人に伝えようと、自動車専門誌、一般誌、TV、WEB媒体を通じて活動中。走り好きの目線と女性の目線の両方向から、カーライフ全般をサポートしている。COTYの選考基準は、クルマと共に過ごす日常において、気持ちを豊かにしてくれるクルマかどうかに焦点を当てる。

《藤島知子》

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