無限、電動バイク「神電 参」 の進化…“走り”も計算されたコンポーネント配置

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無限 神電 参
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2014年のマン島TTレースの電動バイククラス「ゼロTT」における『神電 参』の優勝は、マシンが初年度の『神電 壱』、2013年の『神電 弐』を経て進化し、走行性能が向上した結果でもある。

2014年型である神電 参を壱、弐と比べると、車体が新設計とされながらも、フレームがCFRP製のツインスパータイプで、スイングアームは同じくCFRP製の正トラス型、リアサスペンションがユニットプロリンク式であることなどは変わらず、車体ディメンジョンなど基本は継承されている。その一方で、モーター周りや配置レイアウトは大きく見直されており、神電 壱で固められた基本をベースに改良されてきたことが分かる。

まず、神電 壱は車重270kg、最高出力90kW、最大トルク220Nm、マン島のサルビーストレートにおける車載計測の最高速は210km/hで、マン島1周の平均速度は164.46km/h。公称最高出力は低くないが、省電力のためエネルギー利用率を抑え、50~60kW程度での走行となり、また、モーター軸とスプロケ軸が直結で、減速比も最適でなかったようだ。

神電 弐になると、240kgに軽量化され、モーターの公称出力こそ同じでも、実効出力が60kW程度にアップ。スプロケ軸との間に一次減速ギアを設け、最高速240km/h、平均速度も176.22km/hになった。また、神電 壱はスイングアームピボットがモーターケースを挟み込む左右別体式だったが、神電 弐は一体ピボットを挟み込む通常タイプとなった。

そして神電 参では、更なる戦闘能力を求め、バッテリー容量を増大し、実効出力を高めることがテーマの一つとなった。15%エネルギー密度の高いバッテリーを開発し、容量を20%向上。そのことで車重は260kgに増大するも、モーター出力を100kWにアップ(最大トルク220Nmを同じ)するだけでなく、実効出力を公称値に近付け、最高出力を265km/hまで高めて、平均速度188.882 km/hを達成したのである。

もちろん、動力性能だけでなくハンドリング性能も高められる。バッテリーなどのコンポーネントの配置が、低重心化とマスの集中化に留意したものであることは明らかだ。そして、カウリングだけでなく、フェンダーやシート、スイングアームサイドの形状変更によって、空力特性を改善。これは高速安定性だけでなく、素直で自然なコーナリング特性に寄与しているはずだ。また、シート高が30mm低められ、ライディングポジションも最適化されている。

《和歌山 利宏》

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