しなの鉄道が7月11日から運行を開始する観光列車『ろくもん』の一般試乗会が7月5日、上田(長野県上田市)~軽井沢(軽井沢町)間で開かれた。上下各2本、計4回の試乗会に地元をはじめ全国から180人が参加し、営業運転より一足早く『ろくもん』の旅を楽しんだ。
『ろくもん』は115系電車3両編成を改造した観光列車で、編成は軽井沢方から1号車(クモハ115-1529)・2号車(モハ114-1052)・3号車(クハ115-1021)。内外装のデザインは、JR九州の800系新幹線や豪華寝台列車『ななつ星 in 九州』などを手がけたことで知られるデザイナーの水戸岡鋭治さんが担当した。
車体は同鉄道沿線ゆかりの武将、真田幸村の武具をイメージしたという濃い赤に塗られ、内装にはカラマツやヒノキなど長野県産の木材を使用。車内は各車両ごとにインテリアが異なり、窓側に向いたカウンター席やソファ、個室のような落ち着いた空間の2人席などさまざまなタイプの座席があるほか、1号車には子どもの遊び場として木製の玉を敷き詰めた「木のプール」も設けられている。
午前中の試乗会はあいにくの雨模様で車窓風景には恵まれなかったが、乗客は窓枠や床、座席やテーブルなど木材をふんだんに活かした温かみのある車内で小さな旅を楽しんだ。
娘と孫2人とともに参加したという沿線住民の60代の女性は「各車両それぞれ特徴があって、窓のロールスクリーンまで木製の凝ったつくりでびっくりしました。『木のプール』もあって子供にも配慮されているし……」と、工夫を凝らした車内に感心。父親と2人で参加したという、木のプールで遊んでいた9歳の男の子は「木の玉でプールみたいになっていて楽しい。(木のプール側面の)窓が大きくて景色が広く見える」と喜んでいた。
『ろくもん』はすでに7月前半の予約がほぼ埋まっているといい、夏の観光シーズンに向け今後も人気は高まりそうだ。しなの鉄道の三浦靖弘・経営企画課地域連携室長は「信州の木を使い、信州の食材による料理を提供する『ろくもん』で、長野県外の方には信州が魅力に溢れたところだと感じていただき、県内の方には地域の魅力を再発見してほしい」と話していた。