UDトラックスは4月7日、大型トラック『ビッグサム』の生産を終了したことを発表した。
1990年に10年ぶりの全面改良で発売されたビッグサムは、3月27日にラインオフを迎えた。同車はこの間、2004年に国内向けの生産が終了するまで、合計約16万5000台販売された。その後も海外向けの生産は続けられ、2014年までに現地組み立て分を含め、約7万台を輸出した。
ビッグサムが発売された1990年代の日本はバブル崩壊で景気低迷に苦しんでいた上、排ガス規制が相次ぎ強化されるというトラック業界にとっても厳しい時代だった。こうした情勢を反映し、トラックに対して基本的な動力性能向上や高い環境性能が求められるようになっていた。高まるニーズに応えるため、「人にやさしく、街に暖かく」をコンセプトに、約5年かけて開発された。
省燃費に注力した12.5リットル直列6気筒ターボインタークーラのPF6型エンジンを初めとして、V8、V8型ターボインタークーラ、23.5リットルのV10、RH10型エンジンまで、235~560馬力のエンジンバリエーションを設定した。
ビッグサムは1991年に電子制御式自動変速機(E-MATIC)を他社に先駆けて搭載、1992年にABSとASR(アンチスリップレギュレーション)をオプション装備、1995年にE-MATICを進化させたESCOT-ATを搭載し、ドライバーの負担軽減に大きく貢献した。また1998年には国産トラックで初めてユニットインジェクターを採用したGE13型エンジンを搭載するなど、多くの新技術を装備してきた。
ラインオフした最後の車両は近くボリビアへ出荷される。