選挙の公正性を調査しているシドニー大学とハーバード大学のチームによる「選挙完全性プロジェクト」(EIP)によると、昨年5月に行われたマレーシアの総選挙については、「完全性が低い」国に分類され、調査対象となった73カ国・地域中で66位という低い評価だった。
49の項目について選挙の公正さを指数化した選挙完全性認知指数(PEI=100ポイント満点)では、マレーシアは48.4ポイント。69位だったカンボジアは上回ったが、6位だった韓国、16、18位だった日本には遠く及ばず、47位だったフィリピンよりも下だった。政治対立の続くタイについては調査外となっている。
マレーシアは選挙区割り、選挙法制、有権者登録方式、選挙運動資金、選挙報道、選挙管理機関、選挙手続き、集計、投票プロセスなどの分野で評価が低かった。同調査リポートは、「タイ、カンボジア、マレーシアの最近の選挙に対する抗議と不安定性は、選挙完全性が東南アジアで危機に晒されていることを鮮やかに例示している」と指摘。マレーシアについては野党連合・人民同盟(PR)が得票数で優位だったにも関わらず獲得議席で与党連合・国民戦線(BN)に及ばなかったことに触れ、選挙区割りに問題があるとし、「消えないインク」が機能しなかったり、報道や選挙費用において与党が優遇されているなどの不公平さを批判した。