ベンチャー企業のFOMMは2月19日、大同工業、日本特殊陶業と共同開発した超小型電気自動車『FOMM コンセプト One』を都内で報道陣に公開した。FFインホイールモーターを採用し、水に流されてもジェット水流を発生させることにより水面を移動できるのが特徴だ。
FOMMの鶴巻日出夫代表取締役は「もともとEVをずっと開発していたので、普通のEVを造っても面白くないなと思っていた。EV、モーターの特徴は何かとずっと考えている中で、水の中でも使えるのではないかとひらめいて、車全体を浮かせれば面白いと思った」と開発の経緯を述べた。
その仕組みは「ホイールがフィン形状になっている。そこから水を吸い込み、インホイールモーターの周りにある導水板で水を後ろに送り、その推進力で前に進む。インホイールモーターが前にあるのがミソで、ステアリングを切ると、水が出る方向が変わるので曲がっていく」というもの。
鶴巻代表は「大人4人と荷物60kgを含む820kgの実機を水槽に入れて評価実験したところ、浮かぶことができ、水中でモーターを回して前進することも確認している。社内の開発目標値は24時間水に浮いていられることとしている」と説明した。
その一方で「ただこれは緊急時の機能。水力両用車を造るつもりはまったくない。この車の生涯に一度あるかないかの水害に対処するもの」とも語っていた。
こうした特徴を生かし、FOMM コンセプト Oneは水害に悩まされているタイで2015年10月から販売することを計画しているという。