小学生が超小型衛星を製作 NASA打ち上げプログラム候補に選定

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聖トマス・モア・カテドラル校の衛星開発を指導するNASA ゴダード宇宙飛行センターのジョー・ペレグリーノさん
  • 聖トマス・モア・カテドラル校の衛星開発を指導するNASA ゴダード宇宙飛行センターのジョー・ペレグリーノさん
  • 衛星地上局のアンテナ組み立て
  • 児童によるスペースシャトル・ディスカバリーの人文字を披露

2014年2月6日、NASAは超小型衛星打ち上げプログラム「キューブサット・ローンチ・イニシアチブ(CSLI)」候補の人工衛星16機を選定した。衛星を製作する団体には大学やNASA研究機関のほか、バージニア州の小学校が選ばれた。

CSLIプログラムでは、NASAなど政府系機関の衛星打ち上げに相乗りする形で、教育目的の超小型衛星相乗り打ち上げ機会を提供している。2013年11月には、防衛目的の技術試験衛星打ち上げORS-3ミッションと共に、2011年に候補に選定された高校生製作の「TJ3Sat」を含む29機の超小型衛星がオービタル・サイエンシズ社のミノタウロスロケットで打ち上げられた。

今回、2015年から2017年にかけて打ち上げられる候補のひとつに選ばれたのは、バージニア州アーリントンの小学校、聖トマス・モア・カテドラル(STM)校の「STMSat-1」だ。NASA ゴダード宇宙飛行センターの人工衛星エンジニア、ジョー・ペレグリーノさんの指導のもと、2012年にプログラムがスタートした。STM校の教師メリッサ・ポーアさんをミッションマネージャとし、全校一致でプログラムに取り組んでいるという。アーリントンの地元企業、ATKも開発を支援している。

STMSatは地球観測カメラと小惑星観測カメラを搭載し、軌道上で30秒ごとに画像を撮影、地球に送信するミッションを予定している。世界各国の学校と協力し、アマチュア無線を使った地上局で衛星の画像を受信、パソコンやiPadで表示するプログラム開発も検討しているという。

衛星の開発にはSTM校の400名の全児童がそれぞれの役割を持っており、幼稚園までの児童は広報を担当。1年生はアンテナや地上局設備の製作、2年生はカメラ操作や太陽電池パネルの組み立て、3年生は小惑星観測カメラの運用手順や軌道決定などを担当している。4年生は環境試験と衛星の構造の設計にあたり、5年生はアマチュア無線を学んで地上局での通信を担当する。6年生は衛星の構体と電源や搭載コンピュータの組み立て、7年生は衛星の姿勢や位置を検知する3Dコンパスの製作。8年生は高高度気球を使った試験を完了したという。2013年9月には、ワシントン大聖堂の塔で衛星搭載のカメラで画像を撮影し、アーリントン国立墓地に設置した地上局に送信する試験も行った。

STMSatの打ち上げロケットはまだ決定していないが、国際宇宙ステーションからの放出または2015年にロッキード・マーチンがアラスカから打ち上げる小型衛星専用ロケット、「アテナIIC」ロケットが候補となっている。

《秋山 文野》

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