米国海洋大気庁(NOAA)は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2012年5月に打ち上げた第一期水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1)に搭載されたマイクロ波放射計2(AMSR2)の観測データを、6月1日から熱帯性低気圧の発生や発達の監視のために活用すると発表した。
JAXAとNOAAは、2011年にGCOMデータの利用についての覚書(MOU)を締結しており、NOAAは、AMSR2が観測したデータを、地上受信局を通してJAXAに伝送する一方で、受信したデータを自ら利用している。
可視光や赤外観測による雲画像で、台風の内部構造を把握できない場合でも、AMSR2のマイクロ波観測は雲を通して明瞭に捉えることが可能。2013年11月にフィリピンに甚大な被害をもたらした台風30号の際、AMSR2が観測したデータは、NOAAのハリケーンセンターにより、台風の位置や降雨量の特定、構造の解析のために活用された。これらの結果などから、AMSR2の観測により得られたデータは、台風30号のような勢力が強い台風の観測に適しており、予報の精度向上につながることが認められた。
JAXAは今後も、衛星観測のデータを有効活用するための開発に力を入れていくとしている。