大阪地裁、脱法ハーブ吸引が原因の事故に危険運転罪の成立を認める

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昨年5月、大阪府大阪市福島区内で脱法ハーブを吸引後に乗用車を運転。市道アーケードを暴走して2人に重軽傷を負わせたとして、危険運転致傷罪に問われた23歳の男に対する判決公判が18日、大阪地裁で開かれた。裁判所は執行猶予付きの有罪としている。

問題の事故は2012年5月6日の午前10時20分ごろ発生している。大阪市福島区吉野2丁目付近の車両通行禁止となっている市道アーケード(幅員約8m)に乗用車が進入。速度を落とすことなく約400mに渡って暴走し、歩行者1人に接触。別の歩行者には弾き飛ばした看板が命中し、この2人が骨折や打撲などの重軽傷を負った。

クルマはそのまま逃走したが、約2時間後に同区内で放置されているのを発見。レンタカーだったことから使用者の割り出しを進めたところ、平野区内に在住する22歳(当時)の男が借りていたことや、この男が運転前に脱法ハーブを吸引していたことが判明したため、自動車運転過失傷害容疑で逮捕。検察は「薬物の影響で正常に運転できる状態になかった」として、脱法ハーブ吸引を起因とする事故としては全国で初めて危険運転罪を適用し、起訴していた。

捜査段階で男は「運転時の記憶は無いが、誰かに捕まってはいけないと思って逃げた」などと供述していたが、公判で被告弁護側は「脱法ハーブを吸引することで正常な運転ができなくなるという認識が被告には無かった」、「運転時は心神耗弱の状態だった」として無罪を主張。これに対して検察側は「被告は過去の吸引で、脱法ハーブの影響を認識していた」として、危険運転罪の成立案件をクリアしていることを主張していた。

18日に開かれた判決公判で、大阪地裁の登石郁朗裁判長は「被告には脱法ハーブの使用歴が事故前にもあり、視覚の異常が発生するなど、その影響を認識していた」として、危険運転罪の成立を判断するも、1人をひき逃げした件については「心神耗弱状態だったと認められる」として、弁護側の主張を一部認めた。

その上で裁判長は「事故当時、被告は脱法ハーブの影響で正常に運転できる状態ではなく、危険極まりない運転で事故を起こしたことは厳しい避難に値する」として、懲役3年(執行猶予5年)の有罪判決を言い渡している。

《石田真一》

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