【国際ロボット展13】ハーモニックドライブの摩訶不思議な動きに見入る

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ハーモニックドライブの作動モデル
  • ハーモニックドライブの作動モデル
  • 内側の楕円カムの中心に動力が掛かり回ることで、周囲のボールベアリングがカムの形状に合わせて薄い内側の歯車を、外側にある歯車に押し当てていく
  • カムが回ると歯車の噛み合う場所も変わる。外側は固定され、動力を伝えるのは薄い内側の歯車が延長された部分。カムが1回転しても2T分しか回らない
国際ロボット展の会場内を歩いていたら、ハーモニックドライブのブースを見つけた。ハーモニックドライブという部品の名前に聞き覚えがなくても、ホンダの二本足歩行ロボット「ASIMO」の関節に使われている機構と聞けば、興味が湧くのではないだろうか。

筆者もASIMOでその存在を知って以来、ハーモニックドライブのユニークで優れたメカニズムに興味をもっていた。国際ロボット展でその動きを目の当たりにして、改めて感心せずにはいられなかったのだ。

ハーモニックドライブは、内歯車と歯数が2Tだけ少ない外歯車を組み合わせることで、1周噛み合わせても2枚分しか内側の歯車は動かないため、大きな減速比をもつのが特徴。通常、一組のギアでは実現し難い60:1という大きな減速比を可能にしているのだ。

その仕組みは分かっていたのだが、実際に動きを考えると何とも不思議なのである。トルクを伝える歯車であれば、当然強度が必要とされるから頑丈であるのが当然だ。だがハーモニックドライブは金属のたわみを利用してギアを噛み合わせるため、内側にある歯車(外歯車)は極めて肉厚が薄い。実際に見ても内側にある楕円形のカムに押されて、歯車はグニャグニャとたわんでいる。普通のギアと違い、多くの歯が噛み合うことでトルクを伝達しているため、たわむほど薄い歯車でも十分な強度を確保できるのだそうだ。


1組のギアで大きな減速が得られることは軽量化にもなるし、噛み合いが多いことでバックラッシュがないために位置の精度を高めやすいなど、ハーモニックドライブのもつ利点は、ロボットの関節や精密機械の可動部分に最適な要素なのである。

アメリカ人発明家クラレンス・ウォルトン・マッサーが1955年に考案した、このユニークなギアユニットは21世紀になって、ようやくその本領を発揮できる環境が整ったのかもしれない。
《高根英幸》

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