トルコ・イスタンブールで海底鉄道トンネルの試運転始まる…アジアと欧州つなぐ

鉄道 行政
イスタンブールのアジア側とヨーロッパ側を隔てるボスポラス海峡。海底トンネルの開業で両岸が鉄道で結ばれる。
  • イスタンブールのアジア側とヨーロッパ側を隔てるボスポラス海峡。海底トンネルの開業で両岸が鉄道で結ばれる。
  • 『オリエント急行』終着駅として知られるイスタンブール・シルケジ駅の在来地上ホーム。線路の脇には「マルマライ・プロジェクト」の工事事務所がある。この下に海峡横断鉄道の地下ホームが整備されている。
  • 建設は日本の円借款によって行われ、大成建設が施工。シルケジ駅脇の工事事務所には「JAPAN」と記された垂れ幕が掲げられている。
  • イスタンブール(ヨーロッパ側)のイェニカプ駅に停車中の通勤電車。在来地上ホームの北側(写真左)に海峡横断鉄道の地下ホームが設けられる。

トルコ・イスタンブールのアジア側とヨーロッパ側を海底トンネルで結ぶ、ボスポラス海峡横断鉄道の試運転が8月4日に始まった。同国のアナトリア通信、英字紙ハリエット・デイリーニューズなど主要メディアが報じた。

トンネルは、既存路線の改良と合わせてアジア側とヨーロッパ側を結ぶ約76kmの鉄道を整備する「マルマライ・プロジェクト」の主要部分。全長は13.6kmで、うち約1.4kmはあらかじめ地上で製造したコンクリート製のトンネルを海底に沈めて接続する「沈埋工法」としては世界最深の海面下60mに建設された。建設は日本の円借款によって行われ、大成建設が施工した。

試運転列車には同国のエルドアン首相が乗車。首相は、同トンネルが「北京~ロンドン間の鉄道を連結し、トルコ~グルジア~アゼルバイジャン間を結ぶ鉄道と一体化するだろう」と述べた。

同路線は2分間隔での運行が可能で、全区間開業後は1日約150万人の利用が見込まれている。現在イスタンブールの両岸は2本の道路橋とフェリーで結ばれているが、交通渋滞や大気汚染が問題となっており、鉄道の開業による緩和が期待されている。

開業はトルコ共和国建国から90周年に当たる今年10月29日を予定しているが、鉄道業界誌インターナショナル・レールウェイ・ジャーナルオンライン版によると、既存路線の改良が完成するまではトンネル区間のみのシャトル運転を行う予定となっている。

《小佐野カゲトシ@RailPlanet》

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