三菱重工、2015年までにターボチャージャー生産能力を890万台へ…世界シェアトップ目指す

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三菱重工、ターボチャージャー世界トップを目指して投資を拡大
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三菱重工業は、ターボチャージャーの年間生産能力1000万台体制構築に向け生産能力を増強すると発表した。

第1弾として、タイを始めとする海外生産拠点に総額約110億円を投資、2015年までに、年間生産能力を現状の580万台から890万台まで増強する。燃費規制強に対応するため、エンジンのダウンサイジング+ターボ装着が主流となっており、ターボチャージャー需要が世界的に急増しているのに対応する。

1000万台体制構築に向け次の投資も計画中で、早期に乗用車用ターボチャージャーの世界トップシェアを目指す。

また、開発、製造、営業面でも新たな施策を推進する。具体的には、世界最高効率を達成する「新コンセプトターボチャージャー」や、ガソリンエンジンのダウンサイジングに対応した「電動式の二段過給システム」(電動2ステージターボチャージャー)などの次世代ターボチャージャーを開発し、新たな市場を開拓する。

このため、ターボ化が進展している欧州市場にある生産拠点を、日本に次ぐ第2の開発拠点として役割を担わせ、顧客への開発サポートを充実させる。

製造面では、日本を中心とする生産拠点の設備自動化を推進し、日・米・欧・アジア4極のフレキシブルな生産融通体制を実現することで、コスト競争力を強化する。完成品の最終組立をそれぞれのマーケットに近い拠点で行い、顧客密着型のサポート体制も構築し、市場の多様なニーズに的確、短納期で対応する。

今回の設備投資では、全額出資のタイ生産拠点であるミツビシ・ターボチャージャー・アジアに、今回の約110億円の大部分を占める設備投資を行い、ターボチャージャーの中核部品であるカートリッジ生産体制を強化する。具体的には、部品加工ラインやカートリッジ組立ラインを大幅に増設して、カートリッジの年間生産能力を2015年までに現状の2.5倍強に増強する。生産したカートリッジは、欧州や中国などの最終組立拠点に供給する。

タイに拠点を構える自動車・トラックメーカー向け完成品の需要も増大していることから、最終組立ラインも増設して、2015年の生産能力を現状の2倍に増強する。

三菱重工と上海ディーゼル、住友商事の3社合弁会社である上海菱重増圧器については、三菱重工が住友商事から株式の一部を購入し、連結子会社化を完了した。今後、三菱重工は、上海菱重増圧器に増資して、組立ラインを順次増強していく。これにより、年間生産能力を2015年までに現状の約3倍に増強し、2016年には約4倍に拡大する。

米国では、エンジン・ターボチャージャーの販売を行うミツビシ・エンジン・ノース・アメリカが新工場としてインディアナ州にターボチャージャー生産拠点を新設する計画で、順調に立ち上げ準備を進めている。2014年秋には量産を開始する予定。発足時、60万台規模の年間生産能力を確保するが、その後、自動車の北米大手や日系、欧州メーカーの北米拠点をターゲットに順次増強し、2016年をめどに年間生産能力を2倍に引き上げていく計画。

ターボチャージャー市場では、米国のCAFE規制に代表される燃費規制強化の広がりに伴って、ガソリン乗用車を中心としてターボチャージャー搭載エンジンの需要が急速に高まっている。

三菱重工はこうした市場動向を睨みながら、今後も積極的に投資して、乗用車用ターボチャージャーで世界トップシェア獲得を目指すとしている。

《レスポンス編集部》

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